AI時代に子どもを持つことへの考えを語ったテック企業首脳ら。画像=Reve AI

AIの進化が加速するなか、「いま子どもを持つべきか」という問いに対し、AI業界を代表する経営者の多くが前向きな見方を示した。こうした発言はドキュメンタリー作品「The AI Doc: Or How I Became an Apocaloptimist」で紹介され、米Business Insiderが3月30日(現地時間)に報じた。

同作を手がけたダニエル・ロハー氏とチャーリー・タイレル氏は、AI開発競争の中心にいる大手テック企業の最高経営責任者らに対し、高性能化するAIが将来世代にリスクをもたらす可能性があるなかでも、子どもを持つという選択は変わらないのかを尋ねた。表現の違いはあるものの、回答はおおむね共通していた。

Anthropicの共同創業者で社長のダニエラ・アモデイ氏は、子どもを持つことに前向きな考えを示した。「子どもを持つには本当にいい時期だと思う。私たちもいつか、もう1人子どもを持つかもしれない」と語った。

OpenAIのサム・アルトマンCEOも「イエス」と答えた。親になることを「重大なこと」と表現したうえで、期待と重圧が同時にあると説明。「毎晩、子育てに関する本を読んでいる。うまくやれればと思う」と述べた。

一方でアルトマン氏は、AIが存在する世界で子どもが育つこと自体を強く懸念しているわけではないとしつつ、「IQだけで見れば、私たちの子どもがAIより賢くなることはないだろう」とも語った。AIの高度化によって、人間の能力を測る物差しそのものが変わり得るとの見方をにじませた発言といえる。

Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOも、人間の生の価値を重視する立場から肯定的な見解を示した。「子どもを持つのは本当に素晴らしいことだ。子どもは最も魔法のようで、信じられないほど驚くべき存在だ」と述べた。

これに対し、Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、ためらいにつながる理由も小さくないと語った。「不確実性があまりにも大きい」としたうえで、「最終的には、自分がやろうとしていた通りにやればいい」とコメント。「満足のいく答えではないのは分かっているが、私に言えるのはそれだけだ」と付け加えた。

こうした議論の背景には、AI開発競争が生む不安がある。主要テック企業が巨額の資金を投じてより強力なシステムの開発を進めるなか、制御されない高度なAIが人間の利益と食い違う目標を追求しかねないという「実存リスク」への警鐘が続いてきた。AIが雇用に及ぼす影響も、子どもの将来を考える親にとって大きな懸念材料だ。

それでも、このドキュメンタリーが浮かび上がらせた共通点は明確だ。不確実性を認めながらも、AIの未来を形づくる当事者たちは、それを理由に人生設計そのものを止めるべきだとは考えていない。

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