人工知能(AI)インフラの拡大を受け、データセンター向けバックアップバッテリーの需要が急増している。Panasonicでは関連製品の供給が数カ月前から逼迫しており、新規のデータセンター事業者は限られた在庫を巡って競争を強いられているという。
30日付けのITメディア「TechRadar」によると、Panasonicはデータセンターのサーバラックに搭載するバックアップバッテリーの受注が急増していると明らかにした。AIシステムの普及に伴い、安定した電力供給への需要が一段と高まっていることが背景にある。
同社は、計画済み生産分のおよそ8割を既存顧客向けに割り当てたとしている。このため、新規参入のデータセンター事業者は残る限られた供給を奪い合う状況にある。
これらのバッテリーはサーバラック内に搭載され、短時間の停電時でもシステムを維持してダウンタイムを防ぐ役割を担う。停止コストの大きいAIワークロードでは無停止運用への要求が強く、バックアップ電源はデータセンター運営を支える重要部材になっている。
業界では、こうした需給逼迫がGPUやRAMといった従来のボトルネックにとどまらず、電力インフラ関連の部材にまで広がり始めた兆候と受け止められている。
足元では半導体メモリの供給難が続いており、ストレージやCPUなど他の部材にも需給不安が波及する可能性を懸念する声が出ている。Panasonicの事例は、これまで注目されにくかった部材にもAI需要の圧力が及び始めていることを示すケースといえそうだ。
Panasonicは需要増への対応として、日本国内のリチウムイオンセル生産を約3倍に拡大する方針だ。あわせて、車載用バッテリーの生産ラインの一部をデータセンター向けに振り向ける案も進めている。米カンザス工場を活用した追加生産の可能性も検討中という。
同社は、こうした施策について、AIシステム拡大に伴って増えるコンピュート関連需要に合わせ、生産能力を再配分する取り組みだと説明している。
次世代の代替技術としては、スーパーキャパシタの開発も並行して進めている。従来のキャパシタより多くのエネルギーを蓄え、緩やかに放電できるため、電力負荷の変動を吸収する補助電源としての活用を見込む。投入時期は2027会計年度を目標としている。
Panasonicは、データセンター関連バッテリーの売上高が2029年までに約8000億円に達するとの見通しも示した。一方で、実際に需要を十分に満たせるかどうかはなお不透明だとしている。