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米国とイスラエルによるイラン空爆を受けてエネルギー市場の変動性が高まるなか、供給途絶時の脆弱性が最も大きい国としてシンガポールが挙がった。輸入依存の高さに加え、代替手段の乏しさが主因とみられている。

BeInCryptoが30日に報じたところによると、Energy World Magは最新リポートで75カ国の「エネルギー脆弱性」を評価した。化石燃料への依存度、エネルギー自給率、輸入依存度など7つの指標を基に0〜100点で指数化しており、点数が高いほど供給途絶への耐性が低いことを示す。

シンガポールのスコアは85.2点で首位だった。エネルギーの約98%を化石燃料に依存し、天然ガスは全量を輸入に頼る。エネルギー輸入量は国内生産を243%上回っており、世界的な供給網が揺らいだ際に代替手段が限られると評価された。

2位はトルクメニスタンで、スコアは80.7点。電力の100%を化石燃料に依存しており、再生可能エネルギーなどの代替インフラがほとんど整っていない点がリスク要因とされた。平均所得は約9,000ドル(約135万円)にとどまり、エネルギー価格が急騰した際に家計が受ける打撃を吸収しにくい構造も脆弱性を高めているという。

3位は香港で80.2点だった。エネルギー輸入量が生産を176%上回り、天然ガスも全量を海外供給に依存する。モロッコ(74.6点)とベラルーシ(74.2点)も上位に入り、いずれも高い輸入依存度と低い所得水準が重なり、価格ショックに弱い構造だと分析された。

専門家は、今回の結果は単純に富裕国か低所得国かで決まる問題ではないと指摘する。実際、2022年のエネルギー危機ではドイツやイタリアなどの主要国でも配給措置が導入された。ただ、シンガポールや香港のように自国内のエネルギー生産基盤がほぼない国では、供給が途絶した場合でも石炭や国内ガスに切り替える余地が乏しく、リスクはより大きいとしている。

一方、シンガポール政府は一定の対応余地があるとの見方を示している。シンガポール人的資源相のTan See Leng氏は、自国で使うガスの約半分はパイプライン経由で供給されており、中東紛争の影響を直接受けにくいと説明した。政府として燃料備蓄も維持しているという。

ただ、こうした対応は短期的な緩衝策にとどまるとの見方もある。国際原油価格が1バレル100ドル(約1万5000円)を上回る水準で推移するなか、供給支障が長期化すれば、備蓄だけでは影響を吸収しきれない可能性がある。とりわけエネルギー輸入依存度の高い国ほど、価格上昇と数量不足が同時に進むリスクが大きい。

今回の評価は、エネルギー危機が再燃した場合に、どの国が先に強い圧力を受けるかを示す指標といえる。輸入依存、代替エネルギーの不足、所得面の余力の乏しさという3つの要因が重なる国ほど、ショックが早く大きく表れやすい実態が改めて浮き彫りになった。

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