韓国で開発が進む医療・バイオ分野向けのAI基盤モデル2件が中間評価を通過し、第2段階の開発に移る。韓国科学技術情報通信部は3月31日、情報通信産業振興院(NIPA)、韓国情報通信技術協会(TTA)とともに、「AI特化基盤モデル」プロジェクトの中間成果評価結果を公表した。
対象となったのは、LunitコンソーシアムとKAISTコンソーシアムが開発する医科学・バイオ分野のAI基盤モデル。両陣営は2025年11月から独自開発を進めてきた。中間評価ではいずれも80点以上を獲得し、第2段階の支援基準である70点を上回った。同部は9月初旬まで、各コンソーシアムに対しNVIDIA B200 GPU 256基の支援を継続する。
Lunitコンソーシアムが開発した医科学向け基盤モデルは、160億パラメータ(16B)規模で、Mixture of Experts(MoE)方式を採用した。評価では、AnthropicのClaude 3.5 Sonnetなど1000億〜1兆パラメータ(100B〜1T)級の大規模汎用モデルと比べ、医学論文ベースの質問応答の正確性や、出典・根拠との整合性、科学分野のコード生成・解析評価などで優れた結果を示した。
同コンソーシアムはこのモデルを基に、臨床意思決定支援エージェントシステム(CDSS)も構築した。2026年2〜3月に国民健康保険公団一山病院で実際の医療データ環境に適用したところ、救急外来の5段階患者分類で高い精度を示し、診断名の一致率は94.0%だった。
KAISTコンソーシアムのバイオ向け基盤モデル「K-Fold」は、20億パラメータ(2B)規模。タンパク質複合体の3次元構造予測精度でGoogleのAlphaFold3に近い水準を示した一方、予測速度は最大30倍以上と評価された。AlphaFold3の構造予測に約30分かかるのに対し、平均1分以内に短縮したという。KAISTは従来と異なる物理化学的相互作用ベースの構造予測方式を新たに適用し、データの少ない新規薬物複合体でも予測精度を高めたとしている。
両コンソーシアムのモデルは4月初旬、Hugging FaceでApache 2.0ライセンスのオープンソースとして公開する。Lunitコンソーシアムは第2段階で最大320億パラメータ(32B)まで拡張し、7〜8月に9病院やSKバイオファームなどで実証を進める計画だ。KAISTコンソーシアムは70億パラメータ(7B)モデルへ拡張し、MerckのAI創薬クラウドサービスに搭載して海外展開を進める。
韓国科学技術情報通信部のチェ・ドンウォン人工知能インフラ政策官は「約5カ月という短期間でも、世界市場で通用する技術基盤を整えることができた」とコメント。「診断・治療や創薬といった高付加価値分野での活用が実際の事業化につながるよう、政策支援を続ける」と述べた。