中国は成熟プロセスの生産能力を着実に拡大している(写真=Reve AI)

半導体サプライチェーン全体で値上げ圧力が強まる中、アナログICでも価格改定の動きが広がっている。中国メーカーも相次いで値上げに動いており、業界では、この流れが成熟プロセスを主戦場とする中国勢にシェア拡大の機会をもたらすとの見方が出ている。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が現地時間3月29日に報じたところによると、NOVOSENSE Microelectronics、SG Micro、Fortior Technology、Halo Microelectronics、Silan Microなどの中国企業が最近、価格を引き上げた。Texas Instruments(TI)、Analog Devices、NXP Semiconductors、Infineon Technologies、ON Semiconductor、STMicroelectronicsなど世界大手でも同様の動きが続いている。

中でもTIは、4月から一部製品を最大85%値上げする方針だ。NOVOSENSEは顧客向け通知で、「世界の半導体市場の変動が続く中、ウエハーやパッケージ材料など中核部材のコストが急騰している」と説明した。

アナログICは、音や温度、光といった実世界の連続信号を処理する半導体だ。データセンターの電力管理や電圧制御、信号処理など幅広い用途で使われている。市場では、原材料や製造工程のコスト上昇に加え、人工知能(AI)需要の拡大も重なり、価格上昇圧力がサプライチェーン全体に波及しているとの見方が強い。

これまで値上げの象徴的な例はメモリー半導体だったが、こうした影響は他の製品分野にも広がりつつある。S&P Global Ratingsのクリフォード・カーズは、この局面で中国が成熟プロセスでの競争力を背景に恩恵を受ける可能性が大きいと分析した。アナログICの多くは、最先端プロセスではなく、精度や安定性が重視される成熟プロセスで生産されるためだ。

実際、中国は米国の輸出規制などの影響で先端プロセスでは出遅れてきた一方、成熟プロセスでは生産能力を着実に積み増している。国際半導体製造装置協会(SEMI)は、22〜40ナノメートル(nm)帯の世界生産能力に占める中国の比率は、2024年の25%から2028年には42%に上昇すると予測している。

中国ファウンドリーの増強も進む。SMICは月産100万枚超の生産能力と高い稼働率を維持しており、華虹(Hua Hong)もほぼフル稼働という。価格上昇局面では、中国勢が世界大手より低い価格を提示しながら、一定の収益性を確保できる余地が広がるとの見方もある。

もっとも、供給拡大のペースには制約もある。成熟プロセスは製品の汎用化が進みやすく、大規模投資には長期契約が必要とされる。加えて、TSMCやSamsung Electronicsなど主要ファウンドリーが先端AIチップの生産を優先しているため、アナログ向けの供給余力は一段と限られている。

コスト面では、化学材料やガス、エネルギー、物流費の上昇が続き、ファウンドリーがその負担を顧客に転嫁する流れが続いている。ただ、カーズは、アナログICの価格上昇で最大の懸念はコストそのものではなく、完成品メーカーが生産計画を維持できるだけの数量を確保できるかどうかだと指摘した。市場の焦点は、価格よりも供給に移っているとしている。

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