クイックコマース市場で競争の裾野が広がっている。配送時間が1時間前後まで短縮される中、都心の店舗網を持つ大型店やSSM、EC各社が相次いで参入し、競争構図が変わりつつある。
3月31日、業界によると、これまで配達アプリが主導してきたクイックコマース市場に、大型店やSSM、EC事業者の参入が広がっている。特に、既存店舗を即時配送の拠点として活用しやすいSSMが存在感を強めている。
背景には、配送の短時間化がある。国内のクイックコマース市場は、昨年の1兆2000億ウォン規模から2030年には5兆9000億ウォン規模に拡大すると見込まれている。必要な商品をすぐ受け取りたい需要が高まり、翌日配送や早朝配送にとどまらず、1時間前後で届けるサービスへのシフトが進んでいる。
こうした環境では、都心部で配送拠点をどれだけ確保できるかが競争力を左右する。都市部では大規模物流センターの新設が難しく、既存店舗を配送拠点として転用できる事業者が有利との見方が出ている。
クイックコマース市場は当初、配達アプリを中心に拡大してきた。Woowa Brothersは2018年から物流拠点やピッキングセンターを整備し、買い取り型クイックコマース「Baemin Bmart」を育成してきた。取扱品目も加工食品中心から、精肉、果物、野菜などの生鮮食品や日用品へと広がっている。
足元では、こうした市場に大型店やSSMなどの伝統的な流通チャネルに加え、EC事業者も本格参入し、即時配送を新たな競争軸に据えている。
Homeplusは最近、SSMのHomeplus Expressにおけるクイックコマース事業の成長を前面に打ち出した。Homeplus Expressの売却手続きを進める中、クイックコマースの成長性が事業価値を支える要素になると判断したとみられる。
Homeplusによると、2021年に始めたHomeplus Expressのクイックコマース「Magic Now」の売上高は、この4年間で60%台伸びた。全293店舗のうち223店舗がクイックコマース向け物流機能と都心配送拠点の機能を備える。店舗の9割超が人口密集地域である首都圏と広域市に立地していることも、成長を後押ししたという。
SSG.comは先月時点で、ソウル17カ所、京畿27カ所、慶尚圏18カ所など計83カ所の物流拠点で、クイックコマース「Baro Quick」を運営している。既存の大型オフライン流通チャネルであるEmartと連携し、全国の拠点網を構築する戦略だ。
人口密集地域にあるEmart店舗を積極活用している点は、Homeplus Expressと共通する。旬の果物や野菜、精肉などの生鮮品をEmartから調達し、半径3キロ圏内に1時間前後で配送する体制を整えた。SSG.comによると、1月のBaro Quickの売上は前月比30%増となった。
EC事業者のKurlyも、クイックコマース「Kurly Now」の拡充を急いでいる。Kurlyは23日、Kurly Nowのソチョ店を開設し、ソチョドン、パンベドン、パンポドン、チャムウォンドン向けの1時間以内配送拠点を確保した。既存のDMC店、トゴク店に続き、都心エリアを中心に拠点網を広げる。
Kurlyによると、昨年12月時点のKurly Nowの注文量は前年同期比で約2.5倍に増えた。これを受け、都心部での追加出店に踏み切った。Kurlyは、ソチョ区について、オフィス街と大規模住宅団地が共存する人口密集地域であり、昼食向けの弁当や間食、生鮮食品、ミールキット、日用品の需要が大きいとみている。
もっとも、業界ではクイックコマースの競争力は拠点数の多さだけでは決まらないとの見方も強い。都心部で拠点を確保した後は、迅速な配送を支える運営体制の整備が欠かせないためだ。
業界関係者は「都心の店舗を基盤に配送拠点を確保しても、商品梱包や配車などのシステム整備が不可欠だ」とした上で、「物流システムの転換に加え、人件費負担も大きく、参入障壁は高い」と話した。