ビットコインの総供給収益性が50%を下回り、市場では過去の強気相場入り前と似た局面に入ったとの見方が出ている。一方で、長期保有者の含み益はなおプラス圏にあり、相場の底打ちを判断するには追加指標の確認が必要との慎重な見方もある。
Cointelegraphが3月26日に報じたところによると、ビットコインの総供給収益性は同日時点で60.6%だった。これに先立ち、2月5日には50.8%まで低下し、2023年1月2日以来の低水準を記録した。流通するビットコインの相当数が損益分岐点近辺、もしくは含み損の状態にあることを示している。
こうした水準は、過去には大幅上昇の前触れとして受け止められてきた。2023年1月時点では、ビットコイン価格が1万6682ドルだった際、供給収益性は51%前後だった。その後、価格は2025年に12万6000ドルまで上昇し、655%の上昇となった。2020年3月にも供給収益性が50%を下回った後、ビットコインは6500ドル近辺から、2021年には6万9000ドルまで上昇した。
直近5年では、供給収益性が50~60%のレンジに入る場面は、おおむね相場の調整局面と重なっている。ネットワーク全体の未実現利益が縮小し、弱気相場での追加的な売り圧力が和らぎやすい局面とみられるためだ。このため同指標は、特定の底値を示すというより、中長期の蓄積が進みやすい価格帯を示すシグナルとして捉えられている。
ただ、今回は過去のサイクルと異なる面もある。長期保有者の純未実現損益(LTH-NUPL)は足元で0.40と、なお利益圏を維持している。2015年、2018年、2022年の弱気相場では、同指標がマイナスに転じた後に底値が形成されたが、今回はまだその段階には至っていない。
市場構造の変化も背景にある。企業や現物ETFが保有するビットコインは、流通量の約15.8%に相当する331万9677BTCに達している。こうした投資主体は総じて保有期間が長く、短期的な価格変動に反応しにくいとされる。そのため、市場全体の収益性が低下しても、過去のように長期保有者による大きな売り圧力にはつながりにくいとの見方が出ている。
短期保有者の売り圧力も弱まりつつある。暗号資産アナリストのDarkfostによると、3月25日にBinanceへ流入した短期保有者のビットコインは2万5000BTCまで減少した。2月上旬の売りが強かった時期の約10万BTCと比べると、75%以上の減少となる。新規投資家による短期的な値動きに反応した売りが、目に見えて減っていることを示すという。
もっとも、追加調整の可能性を示す指標も残っている。暗号資産分析企業GugaOnChainは、MVRVが1以下、NUPLが-0.2以下、Puell Multipleが0.35近辺といった水準が、過去に個人投資家の売り圧力が強まり、資産が割安と評価された局面で確認されたと指摘した。これらの指標は正確な底値を予測するものではないが、下値リスクに対する長期的な上昇余地を測る目安になるとしている。
市場では、ビットコインの供給収益性が再び過去の蓄積局面に近づいている点に注目が集まっている。ただ、長期保有者の収益性はなお高い水準にあり、今回の動きが過去と同様に強気相場への転換につながるかどうかは、今後の追加指標の確認が必要となりそうだ。