AI時代の電力供給を巡り、次世代技術の競争が激化している(写真:Shutterstock)

AIの普及に伴って電力需要が急増し、世界のエネルギー市場で主導権争いが激しさを増している。安定した電力の確保を急ぐビッグテック各社は、再生可能エネルギーに加え、次世代原子力技術にも選択肢を広げており、電力インフラを巡る競争は新たな局面に入った。

米TechCrunchが28日(現地時間)に報じたところによると、世界の天然ガス消費の約40%は発電向けだ。足元ではガスタービンの供給不足が長期化しており、エネルギー供給網への懸念が強まっている。

ガス需要の急増を受けてタービンの納期は長期化しており、新規設備の導入は2030年代初頭までずれ込む可能性があるという。

主要国では依然として天然ガスへの依存が続く一方、中東情勢の緊張を背景に、ガスインフラを巡る地政学リスクも新たな不安材料となっている。エネルギーの安定供給に対する警戒感が高まるなか、テクノロジー企業は代替電源の確保を急いでいる。

その有力候補として浮上しているのが、小型モジュール炉(SMR)と核融合発電だ。SMRは原子炉の小型化によって建設コストや工期の圧縮を狙う技術で、核融合は海水由来の資源を燃料に活用できる可能性から、長期的には「究極のエネルギー」とも位置付けられている。

SMR分野では、Kairos Powerが実証炉の建設を進めている。Okloは2028年の商用化を目標に掲げ、X-energyとTerraPowerも2030年前後の実用化を視野に開発を進める。

核融合でも開発競争は激しい。Commonwealth Fusion Systemsは来年、実証炉の稼働を予定している。Helionは2028年までの電力供給開始という野心的な目標を打ち出した。

サム・アルトマンが出資するHelionは、2028年までにMicrosoft向けの電力供給設備を整備し、2030年に5GW、2035年に50GWを供給する目標を掲げている。この計画の達成には、2030年までに800基、2030年以降に7200基の設備建設が必要になるとしている。

もっとも、コスト面の課題はなお大きい。現時点では、原子力や初期段階の核融合による発電コストは1メガワット時当たり150〜170ドルで、天然ガス火力の約100ドルを上回る。短期的な採算性の確保は依然としてハードルだ。

一方で、再生可能エネルギーと蓄電池の競争力も高まっている。太陽光発電のコスト低下が続くほか、系統用蓄電池の価格も大きく下がった。

Form Energyは鉄・空気電池を使った大規模蓄電ソリューションを打ち出している。XL Batteriesも、既存インフラを活用した低コストの蓄電技術を開発中だ。

AI時代の電力競争は、単なる電源確保から、経済性と拡張性を両立できる技術を見極める局面へ移っている。天然ガス、原子力、再生可能エネルギー、蓄電池が並行して競い合うなか、今後の電力市場でどの技術が主導権を握るのかが注目される。

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