ブラッド・ガーリングハウスCEOは、暗号資産業界の長期的な変化を見誤るべきではないと語った。写真=Reve AI

Rippleのブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者(CEO)は27日、ステーブルコインの普及を背景に、今後10年で金融インフラや決済の仕組みが大きく変わるとの見方を示した。自社ステーブルコイン「RLUSD」を投入した狙いを説明したほか、市場参加者の急増による競争激化や、ステーブルコインの乱立がもたらす分断リスクにも言及した。

ガーリングハウスCEOは米マイアミで開かれた「FII Priority Summit」に出席し、将来の変化について問われる中で、「人々は5年を過大評価し、10年を過小評価する」と語った。短期的な変化への期待は行き過ぎやすい一方、10年単位で見た構造変化は十分に織り込まれていないとし、長期視点の重要性を強調した。

ステーブルコインについては、すでに実利用フェーズに入ったとの認識を示した。決済分野での活用は急速に広がっており、今後も拡大が続くと説明した。

パネル討論では、ほかの登壇者からも同様の見方が示された。2030年までに決済システムがステーブルコイン中心へ再編される可能性や、従来の金融資産がブロックチェーン基盤でトークン化されるシナリオにも言及があった。

ガーリングハウスCEOは、RippleがRLUSDを立ち上げた背景についても説明した。同社は長年にわたりクロスボーダー決済事業を手掛け、1000億ドル超の資金移動を処理してきたとし、その過程でステーブルコインを自ら発行・管理する必要性を強く認識したと述べた。

さらに、Rippleは過去にUSDC(USDコイン)の流通の一定部分を支えてきたとも語った。

ステーブルコインの信頼性を巡る課題にも触れた。Silicon Valley Bankの経営破綻時にUSDCのドル連動が揺らいだ事例を挙げ、発行体の財務健全性や危機対応力が市場の信認を左右すると指摘した。

その上で、自社資産と現金保有を基盤に、機関投資家を主な対象とする安定的なステーブルコインを提供できると強調した。

一方、市場競争は今後さらに激しくなるとの見通しも示した。短期的には企業や金融機関の参入が相次ぎ、供給が急増する可能性が高いとする一方、ステーブルコインが過度に増えれば、市場の分断を招くおそれがあると警鐘を鳴らした。

長期的には、「暗号資産企業」という区分自体が意味を失う可能性にも言及した。1990年代に「インターネット企業」という呼び方が次第に薄れたのと同様に、将来的には暗号資産も特別な業界としてではなく、社会基盤の一部として組み込まれていくとの見方を示した。

技術そのものより、決済や保管といった実際のサービスが前面に出るようになり、暗号資産は日常的なインフラへ自然に吸収されていくと説明した。

今回の発言は、ステーブルコインを軸に金融インフラの変化が進む中、暗号資産産業が投資対象にとどまらず、実利用の段階へ移りつつあることを示すものといえる。市場拡大に伴い、競争、規制、信頼確保が今後の重要な論点になりそうだ。

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