中国の電気自動車(EV)メーカーが、低価格戦略だけでなく収益力の面でも存在感を強めている。巨額の先行投資を続けながら赤字が続く欧米メーカーに対し、中国勢は黒字化を進めており、EV業界の勢力図が変わりつつある。
EV専門メディアのInsideEVsによると、中国の主要EVメーカーであるLeapmotor、NIO、Xpengが相次いで黒字化を果たした。
Leapmotorは2025年通年で7800万ドル(約117億円)の純利益を計上した。前年は4億ドル超(約600億円)の赤字だったが、通期で黒字に転換した。NIOも2025年第4四半期に1億ドル規模(約150億円)の調整後純利益を確保し、収益体質の改善を示した。
Xpengも同時期に5500万ドル(約83億円)の純利益を計上し、前年同期の約1億9000万ドル(約285億円)の赤字から脱した。
これらの企業は、BYDやXiaomi、Li Autoとともに、成長と収益確保を両立する企業群として位置付けられている。中国のEV市場では激しい価格競争が続いているが、その中でも利益を確保していることは、市場が成熟段階に入りつつあることを示すとの見方がある。
一方、欧米の自動車メーカーはEVシフトに伴うコスト負担の重さから苦戦が続く。Teslaは依然として安定した利益を確保しているものの、足元では人工知能(AI)やロボット事業への投資拡大を背景に、収益性には鈍化の兆しも出ている。
General Motors(GM)、Ford、Stellantisは、いずれもEV事業で数十億ドル規模の損失を計上した。欧州でもBMW、Volkswagen、Mercedes-Benzが技術開発を進めているが、収益確保はなお課題となっている。
中国メーカーの競争力は補助金だけではない。大きな強みの一つが垂直統合だ。BYDはバッテリー、電動モーター、パワーエレクトロニクス、ソフトウェアなど主要部品の75%超を内製化し、コストを大幅に抑えている。
中国がバッテリー供給網を事実上押さえていることも、コスト競争力を支える要因となっている。バッテリーはEVの原価に占める比率が大きく、競争力を左右する重要なコスト要因とされる。
ビジネスモデルの工夫も差別化につながっている。NIOは車体とバッテリーを切り離して販売する方式を採用し、交換式バッテリーサービスを展開している。車両の初期購入費用を抑える一方、長期的にはサブスクリプション型の収益基盤を築いたとされる。
NIOは中国全土で3700カ所超のバッテリー交換ステーションを運営している。2月には1日当たり17万7627件のバッテリー交換を実施し、過去最多を更新した。
NIOは新型コロナウイルス禍で経営破綻の危機に直面したが、中国の国有企業から10億ドル(約1500億円)を調達して再建した。2023年にはアブダビの政府系ファンドから22億ドル(約3300億円)を追加調達し、成長を続けてきた。
LeapmotorはStellantisとの提携を通じて欧州市場に進出した。2025年の世界販売台数は59万6555台と前年比103%増を記録した。現在はアジア、欧州、中東、アフリカ、南米など40カ国で車両を販売している。
新興勢の伸びも速い。Xiaomiは自動車業界での実績がない中でも、初のEV投入から2年足らずで38万台超を販売し、黒字化にこぎ着けた。スマートフォンやIoTのエコシステムを基盤に、車両をデジタルプラットフォームへ拡張する戦略が奏功したとの評価が出ている。
これに対し、欧米市場ではEV需要そのものの伸びが鈍っている。車両価格の高さや充電インフラの課題、補助金縮小が重なり、普及ペースは期待ほど伸びていないという。
その間に中国勢は海外市場への展開を加速させ、アジア、欧州、中東、南米を中心に販売網を広げている。
業界では、EV産業の主導権が構造的に移りつつあるとの見方が出ている。かつては技術力そのものが競争の中心だったが、足元では「より安く、より多く生産し、なおかつ利益を出せるか」が勝敗を分ける基準になりつつある。