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有力AI企業の間で、特定の業務を人手を介さず処理するAIエージェントの開発競争が一段と激しくなっている。OpenAIとAnthropicはこのところ、自動化機能の拡充を相次いで打ち出しており、次世代モデルの開発でも競争を強めている。

背景には、ユーザーに代わって幅広い作業をこなすオープンソースのAIエージェントツール「オープンクロ」への注目の高まりがある。テック企業各社のAIエージェント戦略も、単なる対話機能から実作業の自動化へと軸足を移しつつある。

Anthropicは「Claude Code」と「Claude Cowork」を更新し、ユーザーのPC上で直接作業できる機能を追加した。これにより、Claudeはファイルを開く、ブラウザを立ち上げる、開発ツールを操作する、といった作業を、より主体的に進められるようになった。

あわせて、Claude Codeには「自動モード(auto mode)」も導入した。ユーザーに代わって権限レベルの判断をAIが自律的に行う機能で、Claude Codeが一定の範囲で独立して作業を進められるようにする。一方で、ファイル削除や機微データの外部送信、悪性コードや隠しコマンドの実行など、意図しない挙動につながるリスクもある。自動モードはチームプラン向けにリサーチプレビューとして提供し、近くエンタープライズプランとAPI利用者にも展開する計画だという。

OpenAIも、コーディング向けAIツール「Codex」にプラグイン対応を追加した。これによりCodexは、単なるコード生成ツールにとどまらず、企業向けの共同作業基盤としての性格を強めた。OpenAIはプラグイン機能を通じ、企業がAIベースの業務自動化をより導入しやすくする狙いとみられる。

次世代モデルを巡る競争も熱を帯びている。OpenAIのサム・アルトマンCEOは最近の組織改編を公表した際、コードネーム「Spud」と呼ぶ次世代モデルの事前学習を終えたと明らかにした。アルトマン氏は「数週間以内に非常に強力なモデルを投入する。チーム全体が、このモデルは経済全体を実質的に加速し得ると見ている」と述べた。

Anthropicについても、既存モデルを大きく上回る新たなAIモデルを開発中で、一部顧客向けにテストを始めたとの情報が出ている。新モデルは「Claude Mythos」と呼ばれ、ソフトウェアコーディング、学術的推論、サイバーセキュリティなど複数の評価項目で、従来の最上位モデル「Claude Opus 4.6」を大幅に上回るスコアを記録したと伝えられている。開発中モデルに関する情報流出を受け、米国ではサイバーセキュリティ関連株が下落する場面もあったという。

OpenAIでは、事業戦略の見直しも進んでいる。動画生成AIアプリ「Sora」の終了に続き、ChatGPTの成人モード開発も中断した。あわせて、ChatGPTの即時決済機能を縮小し、代わりに商品探索機能を強化する方向へと戦略を修正した。

このほかAI業界では、主要各社の動きが相次いでいる。AnthropicのAIサービス「Claude」は、米消費者市場で有料契約者を急速に増やしている。スーパーボウルでの広告展開や米国防総省との対立が、かえって消費者認知の向上につながったとの見方も出ている。MetaはAIエージェントのスタートアップ「Dreamer」を、人材獲得の形で事実上取り込んだ。

SAPは、マスターデータ管理を手がけるReltioを買収する。企業データのAI最適化と「SAP Business Data Cloud」の強化策の一環と位置付けている。

Appleは音声アシスタント「Siri」をオープンプラットフォームへ転換する方針を進めている。Meta傘下のメッセンジャー「WhatsApp」は、AIベースの自動応答機能を含む大規模アップデートを発表した。ByteDanceは新たな動画生成AIモデル「Dreamina Seedance 2.0」をCapCutに搭載する。GoogleはAI翻訳機能「Live Translate」のiOS対応を進め、対応国も大幅に増やすほか、音楽生成AIモデル「Lyria 3 Pro」も公開した。

エンタープライズAIを手がけるCohereは、オープンソースの自動音声認識(ASR)モデル「Transcribe」を投入した。フランスのAI企業Mistralも、オープンソースのテキスト音声変換(TTS)モデル「Voxtral TTS」を公開している。

Microsoftは「AI Tour Seoul」を開催し、生産性向上にとどまらず、AIを成長エンジンとして組み込む「フロンティア・トランスフォーメーション」をテーマに掲げた。実現手段としてCopilotとエージェントの組み合わせを前面に打ち出した。AI MSP企業のCloukusも同イベントで、エンタープライズAIプラットフォーム「ClooSphere」を発表した。WantedLabは、社内実務で高度化してきたエージェンティック・デザインシステム「Montage」を外部公開する。

AI競争の重心がモデル性能からトークン価格へ移るなか、この分野では中国勢が先行し始めたとの調査結果も出た。AIモデルの利用動向を追跡するOpenRouterのデータによると、2026年2月以降、DeepSeekやMiniMaxなど中国AIモデルのトークン消費量は、米国の競合を上回ったという。

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