写真=Semiconductor Industry Association

2026年1~3月期のDRAM契約価格が前期比90~95%上昇する見通しとなった。AIサーバー向け需要の拡大でDDR5やHBM3e関連の需給が引き締まるなか、中東情勢を背景とした原油高も製造コストの押し上げ要因として加わり、メモリー価格の上昇基調が下期まで続く可能性が出ている。

TrendForceによると、1~3月期のDRAM契約価格見通しは、従来の前期比55~60%上昇から90~95%上昇へ上方修正された。PC向けDRAMは100%以上の上昇を見込み、四半期ベースでは過去最大の上げ幅になるという。

2025年10~12月期のDRAM契約価格上昇率が8~13%だったことを踏まえると、1四半期で上昇ペースが大幅に加速した格好だ。サーバー向けDRAMも60%以上の上昇を見込み、NANDフラッシュの見通しも従来の33~38%上昇から55~60%上昇へ引き上げられた。クライアントSSDは前期比40%以上上昇し、NAND製品の中で最も大きい伸びとなる見通しだ。

背景にあるのは、AIサーバー需要の急増だ。DDR5の供給余力が縮小する一方、HBM3eの受注拡大と仕様の高度化で、汎用DRAMに振り向けられる生産余力も細っている。韓国の主要メーカーは価格交渉を引き延ばし、採算改善を狙う動きを強めているという。

TrendForceは、HBM3e価格についても、これまでの下落見通しから一転して上昇に転じたとした。OEM側では値上がりを見越した短期調達の動きが広がっており、その結果として在庫水準がむしろ低下する現象も起きているとしている。

コスト面では原油高が新たな上昇圧力となっている。2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃後、ブレント原油は1バレル66ドル(約9900円)から一時120ドル近辺(約1万8000円)まで急騰した。

その後、停戦協議を巡る報道を受けて下落したものの、水準は戦争勃発前と比べて40%以上高い。国際エネルギー機関(IEA)は、ホルムズ海峡の通過量急減を過去最大の供給障害と位置付け、3月の世界の石油供給が日量800万バレル減少すると予測した。

半導体業界にとって問題なのは、こうした原油高が製造コストを直接押し上げる点にある。SEMIによると、大型半導体工場の電力消費は1時間当たり100MWに達し、約5万世帯分の電力供給量に相当する。

McKinseyは、工場運営費に占める電力費の割合が、地域の電力料金水準に応じて5~30%に上ると分析している。大型工場の年間電気料金は最大2500万ドル(約37億5000万円)に達するという。

地域差も大きい。台湾と中国では、それぞれ30%、最大70%の電力補助金が工場向けに提供されている一方、欧州のエネルギー価格は米国の2~3倍に達する。原油高による負担増が地域ごとに異なる形で表れやすい構図だ。

メモリー価格は下値の堅さを増しており、焦点は下期に移っている。

韓国の工場は、政府補助金の水準が台湾や中国より低く、エネルギーコスト上昇の影響を受けやすい。これはメモリー供給側にとって、値上げを正当化しやすい材料にもなり得る。

韓国はLNG輸入への依存度が高く、原油高が2~3カ月遅れて産業用電力料金に反映される構造にある。このため影響は大きいとみられる。電力費に加え、特殊ガスや化学素材の物流費も原油価格に連動し、製造コスト全体に上昇圧力がかかる見通しだ。

需給逼迫で価格がすでに急騰しているなか、製造コストまで上昇すれば、供給側が値下げに動く理由は乏しい。Samsung ElectronicsやSK hynixなど供給各社の価格交渉力は一段と強まり、サーバーやPCのOEMは部材調達コストの負担増に直面しそうだ。

TrendForceによると、足元のDRAMスポット価格は契約価格を上回っており、4~6月期にも追加値上げの余地がある。4~6月期の価格交渉はまだ本格化していないため、市場では様子見姿勢が強いものの、スポット価格が契約価格の上限を支えている以上、相場が下落に転じる可能性は低いとの見方を示した。

今後の焦点は原油高がどこまで長引くかだ。短期的なショックにとどまればコストへの影響は限定的だが、高値圏が続けば電力費の上昇が本格的に反映され、メモリー価格の上昇局面が長期化する可能性がある。

業界関係者は「需要主導の値上がりとコスト主導の値上がりが同時に進む異例の局面だ」と指摘したうえで、「AIサーバー向けHBMとDDR5の需要が汎用DRAMの生産余力を継続的に圧迫するなか、原油高による電力費と物流費の負担まで重なり、原価構造そのものが変わりつつある」と述べた。

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