Harimは、生産拠点と物流機能を一体化した体制を通じ、生鮮食品アプリ「ODDGROCER」の鮮度配送を支えている。食品工場群「ファーストキッチン」と工場直結のフルフィルメントセンター「FBH(Fulfillment by Harim)」を連携させることで、中間流通を省き、食材ごとの「ピークタイム」を維持したまま家庭へ届ける仕組みを整えた。
「食品は最もおいしいタイミングで消費者の台所に届くべきだ。この価値が損なわれれば競争力は落ちる」。3月27日に全羅北道・益山で開かれたHarimのフードロードツアーでは、こうした同社の考え方が生産・物流の現場に反映されていた。
Harimのファーストキッチンでは、冷凍・冷蔵・常温食品が生産初期から出荷トラックへの積み込みまで、一度も屋外に出ることなく移動する。製品は外部物流網に分散されず、保管、包装、出荷まで同一導線上で処理される。
ツアーでは、K1(メイン食品)、K2(ご飯)、K3(ラーメン)の各工場を屋内の移動経路だけで視察した。工場間をつなぐブリッジの脇には、製品搬送用のコンベヤーベルトも設置されていた。Harimが掲げる「最も新鮮な原料でなければ入れず、最高の味でなければ出せない」という食品哲学を、施設全体の設計に落とし込んだ格好だ。
Harimが買い物アプリ「ODDGROCER」を通じて生鮮市場に参入できた背景には、工場直結のFBHがある。Harimは2025年9月に生鮮プラットフォームODDGROCERを投入した。ODDGROCERは「食品の本質的価値は味にあり、その味は原料の新鮮さから生まれる」という考え方を基盤にしている。
FBHは、入荷、包装、配送を自社で担うAmazonのFBA(Fulfillment by Amazon)に着想を得た仕組みだ。Harimは、食材ごとに定義した味の「ピークタイム」を最大限守るには、生産工場と直結したフルフィルメントセンターが不可欠と判断した。2021年から2025年にかけて1500億ウォン(約165億円)を投じ、延べ床面積6万4157平方メートル、地上5階建てのFBHを整備した。
現場のHarim関係者は「食品は早く届けば新鮮だと思われがちだが、実際には流通の途中で複数の物流センターを経由する。梱包を解いて再包装する過程も鮮度に影響する」と説明した。
ODDGROCERの特徴は、中間流通を省き、生産工場から家庭へ直配送することで、食材ごとのピークタイムを守る点にある。Harimが定義するピークタイムは、卵が産卵当日、鶏肉がと畜当日、アヒル肉が処理当日、豚肉がと畜後5日、牛肉が部位ごとの最適熟成日としている。
Harimは、各製品の生産工場とフルフィルメントセンターをコンベヤーベルトで一体化したファーストキッチンの仕組みがあったからこそ、ODDGROCERを立ち上げられたと説明する。中核に据えるのは「C2C(Cut To Consume)」の考え方で、食材の全工程を直接管理する方針の下で運営する。
FBHでは、5階の包装準備室から工程が始まる。ODDGROCERアプリで注文が入ると、OMS(注文管理システム)が注文データを自動取得し、商品ごとに最適な配送箱を用意する。包装済みの商品はスパイラルコンベヤーで下層階へ搬送され、常温品と冷蔵・冷凍品は階層別に分けて包装される。1階の出荷場でシーリングとラベリングを終えた後、配送トラックに積み込まれる。
工場見学では、ファーストキッチンのK1、K2、K3で食品の生産工程を確認した後、FBHで包装・出荷工程を追うことができた。生産から包装、配送までが短い導線でつながっている点が、現場でも確認できた。
HarimはFBH内に、包装・配送に使うアイスボックスや緩衝材、保冷剤、ドライアイスを自社生産する設備も備えた。ODDGROCERが配送工程でも鮮度を維持できる競争力の一つとして、自社製アイスボックスを挙げる。
一般に、冷凍品はアイスボックス、冷蔵品や常温品は紙箱といったように、温度帯ごとに別々に梱包されることが多い。この場合、同じ注文でも到着時刻が分かれる可能性があり、梱包状態によって鮮度にも差が生じやすい。
Harimはこれを防ぐため、仕切りで3分割できるアイスボックスを自社生産している。冷蔵、冷凍、常温の3温度帯の商品を1箱に収め、それぞれの状態を最適に保てるようにした。仕切りは着脱や幅の調整が可能で、配送内容に応じて変更できるという。
Harim関係者は「消費者は注文した商品をできるだけ早く、一度に受け取りたい。しかし配送工程が増えるほど到着時刻のずれが生じやすい」とした上で、「FBHで自社生産するアイスボックスは1箱に同梱できるため、各商品の鮮度を維持しながら迅速な配送につなげられる」と話した。
今回の現地取材では、生産工場と物流センターが途切れなくつながる導線が、ODDGROCERのサービスを支えていることが確認できた。単に配送を速めるのではなく、食品が最もおいしい状態にあるタイミングを守るために、生産と物流を一つの流れとして設計した仕組みだ。