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量子コンピューターの実用化をにらみ、ブロックチェーン各社・各ネットワークで耐量子暗号(PQC)への対応が課題として浮上している。中でも、ビットコインなどの公開型(パブリック)チェーンは分散型の合意形成が必要なため、許可型ネットワークに比べて移行に時間を要する可能性がある。Cointelegraphが26日、こうした現状を報じた。

量子コンピューターは理論上、デジタル署名や暗号通信を破る可能性があり、ブロックチェーンの安全性を揺るがしかねない。このため、PQCへの移行はすでに現実の課題となっている。米国立標準技術研究所(NIST)は、2035年までに連邦システムの量子安全化を完了するよう求める指針を示している。

一方、機関向けのブロックチェーンは比較的迅速に対応できるとの見方がある。BOLT TechnologiesはCanton Networkと連携し、複数の暗号署名方式を切り替えられる仕組みをテストしている。Canton Networkは規制業種の金融機関向けブロックチェーンで、内部統制やリスク管理、プライバシー要件への対応を前提に設計された。NISTの指針が示されたことで、規制対象の機関はセキュリティ確保とコンプライアンス対応の観点から、より早く動く可能性があるという。

これに対し、ビットコインに代表されるパブリックチェーンでは事情が異なる。ビットコインのプロトコル変更にはBitcoin Improvement Proposal(BIP)の手続きが必要で、実装には利用者や開発者の合意が欠かせない。こうした構造上、許可型ネットワークに比べて移行が大きく遅れる可能性がある。イーサリアムでもEthereum Improvement Proposal(EIP)を通じた合意形成が必要で、コア開発者グループが関連する技術作業の調整を進めている。

PQCへの移行は、単なる技術課題ではない。実際にネットワーク全体へどう反映させるかという運用とガバナンスの問題でもある。BOLT Technologiesのユン・アウ最高経営責任者(CEO)は「量子コンピューターの脅威を認識した段階で対応に着手すべきだ」と述べた。許可型ネットワークは意思決定が速く、ガバナンスも強いため比較的機動的に動ける一方、パブリックチェーンは合意形成に時間を要する見通しだ。

投資家も、ビットコインやイーサリアムの耐量子対応の進捗に目を向け始めている。Jefferiesのストラテジスト、クリストファー・ウッド氏は量子リスクを理由にビットコインをモデルポートフォリオから除外した。一方、Blockstreamのアダム・バックCEOは、量子コンピューターの脅威が現実化するのは数十年先だとの見方を示している。

量子時代の競争は、もはや性能だけの問題ではない。技術的な対策を用意していても、それを実際のネットワークに実装できなければ、セキュリティ上の優位性は維持できない。投資家が見極めるべきなのは、量子リスクがいつ到来するかよりも、その前に各ブロックチェーンがどこまで速く合意し、移行を進められるかという点だ。

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