AIデータセンターの高密度化を受け、800V DC設計への関心が高まっている。写真=Shutterstock

人工知能(AI)データセンターの電力インフラで、従来の交流(AC)中心の構成から直流(DC)アーキテクチャへ移る動きが現実味を帯びてきた。AI演算需要の急増で既存の電力設計の限界が目立ち始めており、効率向上とコスト抑制の両面から高電圧DCが有力な選択肢として浮上している。

オンラインメディアのGizmodoが26日(現地時間)に報じたところによると、NVIDIAが「GTC 2026」で示した次世代AIチップとインフラ設計が、こうした流れを後押ししている。Vertiv、Eaton、Delta Electronicsなど電力関連企業も、DCベースのデータセンター設計を相次ぎ打ち出している。

従来のデータセンターは、AC給電を前提に設計されてきた。中電圧のACで受電した後、低電圧ACへ変換し、無停電電源装置(UPS)を経由する過程でDCとACの変換を重ねる。最終的にはサーバー内部で再びDCに変換し、チップへ電力を供給する仕組みだ。

こうした多段階の変換は、エネルギー損失や発熱を増やし、設備構成も複雑にする。AI向けの高密度運用が進むなかで、従来方式の限界は一段と鮮明になっている。

背景にあるのは、電力密度の急上昇だ。AIデータセンターでは、1ラック当たりの消費電力が最大1メガワット(MW)に達しつつある。

NVIDIAによると、1MW級ラックでは最大200kgの銅が必要になり、大規模データセンターでは総量が数十万kg規模に膨らむ。変換ロスの積み上がりと大電流化が、その主因だという。

このため業界の関心は、高電圧DCアーキテクチャに移っている。例えば13.8kV ACを800V DCに変換すれば、変換段数を大幅に減らせる。電力損失を抑えながら、システム全体の効率向上も見込める。

分析では、同じ導体でもより大きな電力を送れるようになり、銅使用量を約45%削減できるという。エネルギー効率も約5%改善し、ギガワット(GW)級データセンターでは総保有コスト(TCO)を最大30%引き下げられるとの見方もある。

DCベースの構成は、設備面でも利点がある。ファンや電源装置の数を減らせるため、システムの信頼性向上に加え、発熱の抑制や省スペース化も期待できる。ラック側では、小型コンバーターを通じてGPUやCPUに適した電圧へ変換する方式が想定されている。

こうした動きは、すでに一部地域で具体化している。調査会社Omdiaによると、中国では高電圧DCデータセンターの導入が進んでいる。米国でもMetaやMicrosoft、Open Compute Projectが連携し、400V DCベースのラックの実証を進めている。

企業側の取り組みも加速している。Vertivは、NVIDIAの「Vera Rubin」と統合した800V DCインフラを公開した。Eatonは、DC配電向けの半導体変圧器を開発している。Delta Electronicsも、バッテリーバックアップを組み込んだDCラックソリューションを披露した。

もっとも、課題はなお多い。DC専用機器の供給力不足に加え、半導体や材料の増産体制の整備、長期需要の不透明さが残る。業界では、大規模投資とサプライチェーンの再編が伴わなければ、移行ペースは限定的になるとの見方が出ている。

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