人工知能(AI)需要の急拡大を背景にDRAM需給が逼迫するなか、NANDメーカーが資本参加を通じて調達の安定化に動き始めた。出資と長期供給契約を組み合わせ、分断されてきたNANDとDRAMの供給網をまたいで対応する動きとして注目される。
ロイター通信によると、台湾のDRAMメーカーNanya Techは3月26日、SanDisk Technologies、SK hynix子会社のSolidigm、Cisco Systems、Kioxiaの4社を引受先とする私募増資で、約25億ドル(約3750億円)を調達した。発行価格は1株223.9台湾ドルで、前日終値の226.5台湾ドルをやや下回った。
この報道を受け、Nanya Tech株は当日、値幅制限の上限に当たる10%高の249台湾ドルまで上昇した。
出資額はSanDisk Technologiesが約310億台湾ドルで最大。Solidigm、Cisco Systems、Kioxiaの3社はそれぞれ約160億台湾ドルを拠出した。Nanya Techは調達資金を先端DRAM生産に向けた設備投資に充てる方針としている。
今回の取引は単なる財務投資にとどまらない。SanDisk TechnologiesはNanya Techと複数年のDRAM供給契約を同時に締結し、Kioxiaも長期のDRAM供給協定を結んだ。
両社はNANDを主力とするSSD事業を手掛けており、AI需要の拡大を受けてDRAMの安定調達先の確保が急務となっている。DRAMはNANDと並ぶSSDやAIサーバの中核部品だが、供給網は別系統で、NANDメーカー単独ではDRAMの需給調整に関与しにくい。
今回の出資は、NAND専業企業が資本参加によってDRAMの長期確保を図る新たな動きとみられる。SK hynix傘下のSolidigmが加わった点では、SK hynixグループのDRAM・NAND垂直統合戦略とも軌を一にする。
なお、この出資発表は、SK hynixが前日に年内の米国株式市場上場を推進する方針を示した直後に明らかになった。SK hynixの米国上場は最大140億ドル(約2兆1000億円)規模になるとの見方が出ている。