Teslaの完全自動運転支援機能「FSD(Full Self-Driving)」を、公式提供のない地域でも利用できるとうたうUSB機器が登場し、Xを中心に拡散している。外部システムへの接続は不要で、車両の大幅な改造を伴わずに機能制限を解除できるとしている。
この機器はTesla関連コミュニティで注目を集めている。とりわけ、ポーランド出身の開発者ミハウ・ガピンスキが、動作動画や利用例を紹介していることから話題が広がった。投稿ではアカウント名として(@Michał Gapiński)も用いられている。ガピンスキはTesla Androidプロジェクトの創設者としても知られる。
案内によれば、製品は「Diagnostic Tool(診断ツール)」の形態を取り、車両に接続するだけでFSD機能を有効化できるという。導入時間は約5分で、プラグ・アンド・プレイ方式により容易に取り付けられるとしている。
最大の特徴として掲げるのが、地域制限(ジオフェンス)の回避だ。Teslaは各国の規制に応じてFSDの提供範囲を制限しているが、この機器はソフトウェア上の制約を取り除き、どの地域でもFSDを利用できるようにすると訴えている。
機能拡張にも対応するとしている。スマートサモン(ASS)では最大約85m、半径200mまでの拡張に対応するほか、車線変更やオートステア(自動操舵)の性能改善も掲げる。さらに、欧州で適用されるUNECE R171規則に基づく制限も解除し、より踏み込んだ運転支援機能を利用可能にするとしている。
OTA(無線アップデート)にも対応し、今後のTeslaのソフトウェア更新後も互換性を維持できると説明する。必要に応じて機器を取り外して車両を元の状態に戻せるほか、整備入庫前の取り外しも可能だという。価格は500ユーロ。
利用には一定の条件がある。車両にはあらかじめFSDパッケージが搭載されている必要があり、オートパイロットハードウェア3(HW3)または4(HW4)が求められる。大半のModel S、Model X、Model 3、Model Yに対応する一方、Intelプロセッサを搭載した2021年以前製造の旧型Model S/Xは対象外としている。
技術的には、規制回避を主眼に置いた仕組みとみられる。欧州のUNECE R171は、ドライバーモニタリングの強化や責任の明確化を柱とするが、この機器はそうした制限を緩和し、「米国式FSD」に近い運転体験を提供すると訴求している。ただ、その場合でも法的責任は引き続き運転者に帰属する可能性が高い。
販売側は車両保証に影響しないとうたうものの、実際の利用では法令順守や政策面のリスクを利用者が負う可能性がある。地域ごとの規制に反する形で運転支援機能を有効化する手法として、波紋を呼ぶ可能性がある。