写真=Microsoft Koreaのチョ・ウォヌ代表

Microsoftは26日、韓国で「AI Tour Seoul」を開催し、AI活用を単なる生産性向上にとどめず、業務プロセスの再設計につなげる「フロンティア・トランスフォーメーション」戦略と、その実装を支援するフレームワークを発表した。

イベントでは、同フレームワークを実際に導入している韓国企業の事例も紹介した。登壇したのはKT、現代百貨店グループ、延世大学医療院、RLWRLD、Hyundai AutoEver、Hanwha Q CELLS、Enhanceの各社・機関だ。

KTは、Microsoft 365 Copilotの導入を通じて、AIを組織全体で活用できる資産へと転換した事例として取り上げられた。社内データを一元化し、連携基盤を整備したことで、従業員が自らの役割や業務に応じたカスタムAIエージェントを設計できる環境を整えたという。

同社は、こうした取り組みによって従業員体験の向上と働き方の変化が進んだと説明した。AIソリューションの導入は、生産性向上に加え、業務効率の改善や組織全体への波及効果にもつながっているとしている。

基調講演に登壇したキム・フンドンKT戦略事業コンサルティング部門AXD本部長は、個人の生産性向上を企業価値につなげるため、従業員が特定の役割やワークフローに最適化したAIエージェントを自ら構想・設計できるよう支援したと述べた。今後はMicrosoftのAIソリューションについて、ライフサイクル全体をより体系的に管理し、個別業務の成果を組織的な価値へと結び付けていく方針も示した。

現代百貨店グループは、Azure OpenAIを基盤にしたショッピングキュレーションサービス「HEYDI」を通じて、オフライン店舗での顧客体験を刷新した事例を紹介した。

HEYDIでは、状況に応じたレコメンド機能や多言語対応を提供しており、顧客満足度は4.51点だった。利用件数は提供開始時の月9000件から、足元では月8万件へと約9倍に増えたという。

キム・ソクフン現代百貨店グループのICT専門企業Hyundai Futenet本部長は、世界各国の顧客が訪れる大型オフライン店舗では、言語や来店目的、嗜好が異なる顧客一人ひとりに一貫した体験を提供するうえで、運営面の限界があったと説明した。HEYDIの導入後は、来店が実購買につながるケースが増え、顧客との深い接点も生まれるなど、目に見える成果が出ていると話した。

延世大学医療院は、医療現場の従事者が自らAIアプリを開発できる「シチズン・デベロッパー」環境を構築し、80種類以上の特化型アプリを臨床ワークフローに組み込んだ。4月に導入予定の「Rounding Copilot」によってカルテ確認にかかる時間を短縮し、医師1人当たり1日最大1.8時間の診療時間を捻出できる見通しだとしている。

チョン・ユンビン延世大学医療院情報サービスセンター副所長は、厳格な医療規制とセキュリティ要件の下で、臨床現場のニーズをAIソリューションに迅速に反映するうえでは、時間とコストが大きな課題だったと述べた。Microsoftとの協業により、安全性と拡張性を備えた開発環境を整備しており、医療従事者の負担や反復業務を減らし、診療効率の大幅な改善につなげたい考えを示した。

フィジカルAIを手掛けるロボット企業のRLWRLDは、Microsoftと連携し、ロボット操作モデルを含むフィジカルAI技術の高度化を進めている。Azure Blob StorageとAzure Data Lakeを基盤に、産業データを体系的に保存・管理するインフラを整備し、モデル学習や反復実験の効率を高めているという。今後は産業用データサンドボックスを通じて、企業顧客が製造・物流現場でフィジカルAIをより安全に検証・導入できるよう支援する計画だ。

リュ・ジュンヒRLWRLD代表は、認知・動作・制御を統合したフィジカルAIロボットモデルの実現には、実際の産業環境を反映した高精度な操作データと、それを安定的に活用できるインフラが重要だと強調した。Microsoftとのパートナーシップを通じて、製造・物流現場に適したデータ活用基盤を強化し、フィジカルAI技術の検証と適用を段階的に広げていくと述べた。

Hyundai AutoEverは、GitHub Copilotの導入により、開発協業環境の整備と開発スピードの向上を進めている。GitHubの「Innovation Graph」によると、韓国の開発者コミュニティは272万人を超え、2020年以降も拡大が続いている。オープンソースやAI開発の分野でも、グローバルでの存在感を強めているという。

基調講演には、パク・ヨンチュンHanwha Q CELLS G&ES事業部長と、AIスタートアップEnhanceのイ・スンヒョン代表も登壇した。両氏はそれぞれ、Microsoftとの協業によるAIベースのエネルギー管理サービスと、AIエージェントプラットフォーム戦略を紹介した。

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