OpenAIは、動画生成AI「Sora」の提供を停止した。アプリとAPIに加え、ChatGPTへの統合計画も打ち切る。Disneyと進めていた約10億ドル(約1500億円)規模の協業構想も白紙となった。
Disneyとの案件は正式契約ではなく、口頭合意の段階にとどまっていたとされる。Soraチームは今後、長期的に進めるロボティクス研究向けのワールドシミュレーションに軸足を移す。
今回の停止は、OpenAIのこれまでの姿勢から見れば突然の方針転換といえる。
ニュースレター「Sources」の発行人で、Vox Mediaのポッドキャスト「Access」の共同司会を務めるアレックス・ヒース氏によると、7週間前の時点では状況は異なっていた。当時「Access」に出演したOpenAIのサービス統括フィジ・シモ氏は、ChatGPTとSoraの統合計画に触れたうえで、当初の熱狂はやや落ち着いたものの、Soraは「コンテンツ生成分野で確かな成果を出している」と述べていたという。
OpenAIは、Sora停止の発表前日にも、Soraのコンテンツポリシーを更新するブログ記事を公開していた。
ヒース氏は、今回の判断の主因としてGPU資源の再配分を挙げる。同氏は「動画生成はGPU消費が極めて大きい。Soraに振り向けていたチップを、OpenAIが重点を置くCodexや法人向け製品に回す判断だ」と指摘した。さらに「Anthropicは開発者向けだったコーディング機能を一般利用者向け製品へ広げている。代表例がClaude Code Workだ。OpenAIには追随を迫られる強い圧力がある」との見方を示した。
より大きな戦略の枠組みでは、OpenAIは現在、いわゆるスーパーアプリ戦略を具体化している。ChatGPT、Codex、Atlasブラウザーを単一のデスクトップアプリに集約し、エージェント機能を拡張する構想だという。ヒース氏は「Soraの位置付けがこの戦略の中で曖昧だったうえ、コンテンツ供給契約の交渉でも壁にぶつかっていたことが、撤退判断につながった」と説明した。
サム・アルトマンCEOは、Sora停止を知らせた同日、組織再編も公表した。安全部門はマーク・チェン氏が率いるリサーチ組織の傘下に移し、セキュリティ部門はグレッグ・ブロックマン氏のスケーリング組織の傘下に置く。アルトマンCEO自身は資金調達とデータセンター構築に一段と注力し、フィジ・シモ氏は「AGI Deployment」部門のCEOとして、実質的な事業運営を統括する。
あわせてアルトマンCEOは、コードネーム「Spud」と呼ぶ次世代モデルの事前学習を完了したことも明らかにした。同氏は「数週間以内に非常に強力なモデルが登場する。チーム全体として、このモデルは経済全体を実質的に加速できると見ている」と述べた。