USLab.aiは9日、キム・ソンテ氏のYouTube動画に寄せられたコメントを博覧会形式で再構成したWebサービス「ソンテ博覧会」を公開した。約5万件のコメントを分類・再編し、生成AIを活用して短時間で試作した取り組みとして関心を集めている。
このサービスは、キム・ソンテ氏の動画コメント欄が「まるで就職博覧会のようだ」と話題になったことをきっかけに企画された。ネット上の冗談として消費されがちな表現を、生成AIを使って実際のWebサービスとして形にした格好だ。専門的な開発知識がなくてもアイデアを素早く試作できる環境が広がる中、着想そのものに加え、誰が先に実装するかの重要性が増していることを示す事例ともいえる。
背景には、キム・ソンテ氏のYouTubeチャンネルの急速な話題化がある。3月3日付で、「忠州マン」として知られる元忠州市公務員のキム・ソンテ氏は、退職後に個人チャンネル「キム・ソンテ」を開設。開設から10日で登録者数が140万人を超え、大きな注目を集めた。
注目を集めたのは動画だけではない。コメント欄にも公的機関や企業の広報担当者、一般ユーザーが相次いで参加し、いわば「マーケティング合戦」の様相を呈したという。
実際、Woori Bankが投稿した「アイユー、チャン・ウォニョン、T1、キム・ソンテ let’s go」というコメントは、その後キム・ソンテ氏との初の広告案件につながった。20日にはチャンネル「キム・ソンテ」で「Woori Bank 広報」と題した動画が公開され、再生回数は454万回を記録するなど反響を呼んだ。
コメント欄が単なる交流の場にとどまらず、プロモーションやネットワーキングの接点としても機能し得ることを示した形だ。
ソンテ博覧会を制作したUSLab.aiのイ・ソニョン理事は、デジタルトゥデイの取材に対し、このコメント欄を一過性の流行ではなく、複数の主体のメッセージが交差し可視化される場として捉えたと説明した。
イ理事は「企業、公的機関、個人、クリエイターがそれぞれのメッセージを並べる空間のように見えた。そこで、これを博覧会の構造として再設計しようと考えた」と述べた。
さらに「一般ユーザーのコメントにも、自己紹介や協業提案、求職につながる流れが表れていた。このプロジェクトは単なる収集ではなく、再構成だと明確になった」と語った。
ソンテ博覧会の特徴は、コメントを収集して一覧表示するだけでなく、ネット上の冗談として語られたイメージを、実際の構造として実装した点にある。
コメントは「公的機関館」「企業館」「人材館」などに分類して展示。ユーザーはデジタル上の博覧会を巡るような感覚でコンテンツを閲覧できる設計になっている。
実装にはChatGPT、Gemini、Cursor AI、OpenClawなど複数の生成AIツールを活用した。コメントの収集、分類ルールの設計、データパイプラインの構築、UI設計、コード修正まで、全工程でAIを用いたという。
これは、生成AIが文章生成や要約だけでなく、企画、設計、制作全般に関与する実務ツールとして使われ始めていることを示している。
開発スピードも特徴の一つだ。イ理事は「社内の1人が主導し、最初のプロトタイプは約8時間で実装した」と明らかにした。
コミュニティに投稿された紹介文には、「作った人が開発者ではないという話が少し怖い。このレベルなら、もはや開発者ではないか」といった反応も寄せられたという。
もっとも、短期間で試作できたことが、そのまま完成度を意味するわけではない。イ理事は「その後、分類精度の補正や例外処理、バグ修正など、実運用に耐える状態に仕上げるまでには、むしろより多くの時間がかかった」と説明。「AIが開発スピードを引き上げても、方向性の設定と品質管理は依然として人の役割だ」と強調した。
足元では、AIに自然言語で指示し、試作品を素早く作る「バイブコーディング」も広がっている。ソンテ博覧会は、生成AIの活用が回答生成や検索支援にとどまらず、人の観察や発想を構造化し、サービスとして具体化する段階へ広がっていることを示す事例といえそうだ。
USLab.aiは、CES 2026のイノベーションアワード受賞作452件を収集・分析し、Webサービスとして提供するアーカイブも運営している。最近は、ゲーム開発者会議(GDC)2026の発表内容や産業動向の整理も進めているという。