OpenAIが、投資家に年17.5%の利回りを提示する条件で大規模な資金調達を進めているとされ、市場でその持続可能性を巡る議論が広がっている。高利回りを打ち出した資金調達策が投資家の関心を引く一方、過去の暗号資産市場の崩壊事例を想起させるとの見方も出ている。
ロイターを引用したBeInCryptoの24日付報道によると、OpenAIはTPG、Advent International、Bain Capital、Brookfield Asset Managementなどの主要投資ファンドと合弁会社を設立し、約100億ドル規模の優先株を発行する計画だ。このうち約40億ドルを外部投資家が拠出し、OpenAIは投資条件として年17.5%の利回りに加え、自社AIモデルへの優先アクセスを提示したとされる。通常の優先株を大きく上回る水準との受け止めが出ている。
こうした条件に対し、一部の市場関係者は強い懸念を示している。Nansenの最高経営責任者(CEO)、アレックス・スバネビク氏は、今回の利回りの設計について、高い固定利回りを掲げた過去の暗号資産プロジェクトに似ていると指摘した。
具体例として挙げられているのが、テラのエコシステムに属する「アンカー・プロトコル」だ。同プロトコルは19~20%の利回りを掲げて資金を集めたが、その後に投資家の信認が崩れ、約400億ドル規模の価値が失われた経緯がある。
BlackRockの元ポートフォリオマネジャー、エドワード・ダウド氏も、今回の動きを「バブルの典型的なシグナル」と批判した。高い固定利回りが市場のゆがみを招く可能性があると警告している。
懸念の背景には財務面の課題もある。OpenAIは2025年に約200億ドルの売上高を計上し、前年比233%増と急成長した一方、インフラ投資の拡大や運営費の増加により、2026年には約140億ドルの損失が見込まれるという。売上高が急拡大しても、収益化の道筋はなお見えにくい。
このため、投資ファンドの間では参加を見送る動きや撤退も出ている。ソフトウエア投資に強いThoma Bravoは長期的な収益性に疑問を示して投資を取りやめ、別の投資ファンドも採算性を理由に合弁会社への参加を見送ったと伝えられている。
一方、今回の案件を過去の暗号資産事例と単純に比較するのは適切ではないとの見方もある。OpenAIは企業顧客とAPIを軸に安定した売上高を確保しており、投機的な資金流入に依存していたテラとは事業基盤が異なるためだ。
競合のAnthropicも類似の資金調達を進めているが、固定利回りを保証していない点で戦略は異なる。OpenAIによる年17.5%の提示は、想定したほど投資家を集められていないことを示す可能性があるとの見方も浮上している。
市場では、OpenAIの今回の判断が戦略的な勝負手となるのか、それとも過熱するAI投資ブームの危うさを映すシグナルとなるのか、注目が集まっている。