金融監督院が、金融消費者保護を軸に監督の重心を事後制裁から事前予防へ移す。銀行に加え、ビッグテックやインターネット専業銀行まで対象を広げ、IT障害や内部統制不備の再発には減軽措置を設けず、法定水準の制裁を科す方針を打ち出した。金融各社では、システム安定性の確保や内部統制の見直しを急ぐ動きが広がっている。
金融業界によると、金融監督院は20日に「消費者リスク対応協議会」を開き、金融事故が繰り返される業態を中心に制裁方針を一段と厳格化する考えを示した。従来の事後対応型の監督から離れ、事故の芽を事前に把握して対処する予防型監督へと本格的に転換する構えだ。
とりわけ、IT基盤サービスの比重が高いビッグテックやインターネット専業銀行では、システム障害や内部統制の不備が相次いだことを踏まえ、類似事故が再発した場合は減軽措置なしで法定水準の制裁を適用する方針を明確にした。単純なミスを超え、管理上の不備と判断されれば、金銭制裁に至る可能性もあるという。業界では、事実上の厳格対応と受け止められている。
監督の重点も広がる。金融監督院は、ITシステムの安定性と内部統制体制を重点点検項目に据え、事故発生の可能性が高い領域を中心に集中的な点検に乗り出す計画だ。ITリスクを個別企業の問題ではなく、金融システム全体の信頼に直結する課題と位置付け、業態ごとの対応ではなく横断的な観点から管理する狙いがある。
市場環境も監督強化を後押ししている。足元では株式市場への資金流入を背景に、銀行窓口での株価連動型商品の販売が増えている。販売競争の過程で不完全販売が発生すれば、厳しい制裁につながる可能性がある。
こうした流れを受け、金融各社も対応を強めている。KB国民銀行、Shinhan Bank、Woori Bankは今週の株主総会で、取締役会内の小委員会として消費者保護委員会を新設した。Hana Bankも既存の消費者リスク管理委員会を拡大改編し、消費者保護委員会を導入した。いずれも、金融監督院が昨年下半期に示した金融消費者保護ガバナンスのベストプラクティスを反映した対応とみられる。
主要な金融各社は、ITインフラ投資の拡大と内部統制体制の整備を進めるとともに、商品説明義務の強化や事前リスク点検手続きの見直しにも取り組んでいる。短期的な営業成果よりも、金融消費者保護を中心に据えた運営体制への転換が求められているためだ。
特にビッグテックとインターネット専業銀行では、プラットフォーム型サービスの特性上、ITの安定性が利用者の信頼に直結する。このため、運営全般を見直す動きが目立っている。
Toss Bankは、最近発生した両替エラーを受けて内部管理体制の強化を進めている。同社は「システム安定性、内部統制、消費者保護をサービス運営の基本前提とし、システム、プロセス、人員運用の全般を継続的に高度化している」と説明した。
その上で、「事前予防と常時点検、異常兆候への早期対応能力を強化し、安定したサービス運営体制を維持している」としている。
Kakao Payも、異常取引検知システム(FDS)を基盤に対応体制を強化している。紛失申告、誤送金の仲介、なりすまし申告、購入紛争申告などに対応する「金融安心センター」は、24時間365日体制で運営しているという。
アプリ内の統合セキュリティソリューションも導入し、不正アクセスや悪性アプリ、フィッシング攻撃などの脅威を事前に検知し、利用者に警告通知を送る体制を整えた。「家族セキュリティ見守り」「詐欺履歴検知」「口座見守り」などの機能を通じ、金融安全を事前に管理する取り組みも強化している。
Naver Payも、内部統制とシステム安定性の強化に向けた点検を拡大している。同社関係者は「内部プロセス全般を点検し、システムエラーの再発防止に向けた確認手続きを強化している」とした上で、「改善が必要な部分は継続的に改善していく」と述べた。
今回の監督強化は、単なる規制拡大にとどまらず、金融業界全体に体質転換を迫るシグナルと受け止められている。短期実績を優先する営業戦略から脱し、金融消費者保護とリスク管理能力を中核競争力として引き上げる流れが強まりそうだ。
イ・チャンジン金融監督院長も24日、市民・消費者団体との懇談会で、事前予防中心の金融消費者保護方針を改めて強調した。同院長は「金融消費者保護の強化を監督業務の最優先目標に置いている」と述べ、「金融会社の責任性を高め、予防的な金融消費者保護に万全を期す」とした。
金融業界関係者は「監督の重心は事故後の対応から事前遮断へと移った」とし、「ITの安定性と内部統制の水準を高め、金融消費者保護を経営の中心に据えることが、業界全体の課題になっている」と話した。