Teslaが超大型のAIインフラ投資に踏み込み、事業の重心を電気自動車メーカーからAIインフラ企業へ広げようとしている。中核となるのは「テラファブ」構想で、資金調達の可能性も含めて市場の関心を集めている。イーロン・マスク氏は、SpaceXやxAIを含む自らの関連企業群を視野に入れた構想を示しており、Teslaの成長戦略は一段と大型化している。
もっとも、巨額投資には当然ながら負担も伴う。Teslaが描く青写真は成長余地の大きさと引き換えに、実行リスクも抱え込む「大型賭け」として受け止められている。
AIインフラ投資と並行して、Teslaの技術ロードマップを巡る不確実性も残る。FSDの欧州認可は遅れが続いており、規制面の不透明感はなお払拭されていない。一方でマスク氏は次世代のTesla Roadsterの公開を予告し、期待感を改めて打ち出した。Cybertruckでは航続距離の延伸につながる特許も話題となっており、技術面での進展と事業化リスクが交錯している。
電動トラック「Semi」への評価も定まっていない。重量と航続距離の両立など性能面を評価する声がある一方、市場の見方は総じて慎重だ。焦点は技術的な完成度そのものより、量産体制の立ち上げと商用展開をどこまで早められるかに移っている。
競合各社もTeslaの主戦場に攻勢を強めている。Lucid MotorsはModel SとModel Xの顧客層を狙い、高価格帯EV市場での存在感拡大を図る。Renaultはヒューマノイドロボットを活用した生産革新に着手しており、「Optimus」を掲げるTeslaのロボット戦略を意識した動きとして注目される。
ロボタクシーを巡る競争も激しさを増している。RivianはUberと協力し、R2 SUVをベースにしたロボタクシー開発に乗り出した。Uberの前CEOは、現時点ではWaymoが先行しているとの見方を示し、Teslaが巻き返すには「ChatGPT級の革新」が必要だと指摘している。
中国勢の存在感拡大も、世界のEV市場の構図を揺さぶっている。中国の電動トラックメーカーは欧州市場への進出を本格化しており、ディーゼル車中心の商用車市場に変化を迫っている。中国EV市場ではBYDとTeslaの明暗が分かれ、競争環境の再編も進みつつある。
こうしたなか、FordのCEOが中国製トラックの価格競争力を高く評価したことも波紋を広げた。西側の自動車産業が競争力低下の転機を迎える、いわゆる「ノキア・モーメント」に直面しているのではないかとの見方も浮上している。
韓国のモビリティ企業も、技術転換とサービス高度化を進めている。Kakao Mobilityはロボティクス企業への転換を急ぎ、フィジカルAI分野の事業拡大と自動運転R&D人材の確保を進めている。Socarはプレミアムカーシェアリング「ブラックラベル」を投入し、サービスの差別化を図る。
エネルギー価格の上昇も電動化を後押ししている。国際原油価格が1バレル100ドル(約1万5000円)を超えたことで、内燃機関車の維持コストはEVの約5倍水準に達したとされる。米国ではEV向けの定額課金を巡る議論も起きているが、ディーゼル価格も1ガロン5ドル(約750円)を超えており、電動トラックへの転換圧力は強まっている。
2025年には、世界的なEV普及の拡大によって石油需要が約170万バレル減少するとの見通しも出ている。BYD、Kia、Volkswagenなど主要メーカーは、欧州と北米を中心にEVシェア拡大を急いでいる。
電動自転車市場でも、軽量化と性能を巡る競争が続く。Laufは超軽量の電動MTB「eエルジャ」を公開し、シンプルさと効率性を訴求した。Velotricも、性能と価格の両立を狙った「Tempo」の新モデルを披露している。