Arm Holdingsは24日、データセンター向けの自社開発CPU「AGI CPU」を発表した。Armが自社ブランドのサーバー向けCPUを打ち出すのは初めて。初の採用先としてMetaを確保した。これまで設計資産のライセンス供与を主力としてきた同社は、今回の製品投入でデータセンター向け半導体市場に本格参入する。
ArmのCEO、ルネ・ハース氏は同日、米サンフランシスコで開いたイベントでAGI CPUを披露した。
Armはこれまで、IntelやAMDなどの主要チップメーカーに設計資産をライセンス供給し、ロイヤルティー収入を得る事業モデルを築いてきた。自社製CPUの投入により、ライセンス供与先と競合する構図にもなる。
Metaは今年の設備投資額を最大1350億ドル(約20兆2500億円)と見込んでおり、数ギガワット規模のAIデータセンターを構築中だ。ArmのCPUは、既存のコンピューティング向けCPUの代替として活用する方針という。
Metaのソフトウェアエンジニア、ポール・サブ氏は「現在の市場には主要サプライヤーが数社しかない」としたうえで、「Armはエコシステムに新たな選択肢を加えた」と述べた。今回の採用について、ソフトウェアスタックとサプライチェーンの柔軟性を高める効果があるとも説明した。
チップアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は、「ArmがMetaの設備投資の5%を取り込むだけでも、売上高にとってゲームチェンジャーになる」との見方を示した。
Armによると、AGI CPUは汎用人工知能向けに最適化して設計した。最大64個のCPU、約8700コアを単一の空冷ラックに搭載できるという。
性能面では、x86ベースのラックと比べてワット当たり性能が2倍になるとした。同じ設置スペースと消費電力で2倍の性能を実現できるといい、電力制約の大きいデータセンター事業者にとって訴求力があるとしている。
生産はTSMCの3ナノメートルプロセスを採用する。量産開始は年内を予定している。
発売前の段階で、Google、Amazon、Microsoft、Oracle、Broadcom、Micron、Samsung Electronics、SK hynix、Marvellなど約50社のパートナーがArmの取り組みを支持すると表明した。NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏も動画メッセージで祝意を寄せた。
ArmでクラウドAI部門を統括するモハメド・アワド氏は、「CPU市場は1兆ドル規模(約150兆円)だ」と述べたうえで、「パートナー各社は今回の動きが業界全体にとって有益だと認識している」と説明した。
そのうえで、「価格競争力を持たせ、自前でチップを開発する余力のない企業を主なターゲットにする」と述べた。