ウォン安が進むなか、韓国市場でUSDTが実勢の対ドル相場を下回った。写真=Reve AI

韓国でウォン安とドル高が進むなか、暗号資産市場ではステーブルコインのテザー(USDT)が実勢の対ドル相場を下回る異例の値動きが出ている。通常はウォン安局面でドル代替として買われやすいUSDTが、今回は韓国市場で割安に取引された。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、ソウル外国為替市場ではウォンの対ドル相場が取引時間中に一時1ドル=1511.8ウォンまで下落し、2009年3月以来の水準を付けた。中東情勢の緊迫化を背景に投資家の資金が安全資産に向かい、ドル高が強まった。

これに対し、韓国の暗号資産市場では通常とは逆の動きがみられた。暗号資産取引所UpbitではUSDTが約1503ウォンで取引され、実勢の対ドル相場を約0.5%下回った。

一般にウォン安が進む局面では、韓国の個人投資家がUSDTをドルの代替手段として買い進め、プレミアムがつきやすい。だが今回は、従来のパターンとは異なる値動きとなった。

背景には、地政学リスクの高まりを受けて投機マネーが後退したことがあるとみられる。イランによるホルムズ海峡封鎖は原油高と追加的なインフレ圧力につながり、韓国株市場でも外国人投資家がKOSPI銘柄を売り越すなど、値動きの荒い展開が続いている。

過去には、ウォン安と暗号資産の価格変動が重なると、韓国の個人投資家がUSDTを買い、ビットコイン(BTC)やアルトコインの買い付けに向かうケースが目立った。今回は現金ドルやドル建て資産への選好が強まり、USDTへの需要が弱含んだ可能性がある。

その結果、韓国の暗号資産市場では「USDTディスカウント」が発生した。伝統的な外国為替市場で強まる安全資産志向と、暗号資産市場の資金フローが連動していないことを示す動きとも受け止められている。

ドナルド・トランプ米大統領はホルムズ海峡を巡りイランに強い警告を発した後、軍事行動の可能性については一部留保する姿勢も示した。ただ、テヘランはなお強硬姿勢を崩しておらず、ウォン安圧力は当面続く可能性がある。

今回のUSDTディスカウントは、ウォン安局面における韓国の暗号資産市場の資金フローが過去とは変化していることを示した。ステーブルコインが即時のドル代替手段として機能しにくくなり、リスク回避マネーが現金ドルや伝統資産に向かっているとの見方が市場では強まっている。

市場では今後、為替の動向や中東情勢の変化を受けて、こうした価格のゆがみが続くかどうかに注目が集まっている。

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