写真=TIとNVIDIAが協力した次世代AIデータセンター向け800V DCリファレンス設計

Texas Instruments(TI)は3月24日、データセンターおよび電気自動車(EV)向けの次世代絶縁電源モジュールを発表した。独自のマルチチップパッケージ技術「IsoShield」を採用し、従来ソリューション比で電力密度を最大3倍に高め、ソリューションサイズを最大70%縮小した。

同社は同日のメディアブリーフィングで、IsoShieldを適用した絶縁バイアス電源「UCC34141」「UCC14240」を紹介した。AIクラウド需要の拡大でラック当たりの電力需要が増すデータセンターと、限られた車載スペースで高出力化が求められるEVを主な対象市場と位置付ける。

TI韓国法人でアナログ技術支援を担当するパク・スミン氏は、「限られたスペースでより多くの電力を扱うという課題は、EVとデータセンターに共通している」と説明した。その上で、効率、発熱、EMI(電磁干渉)、信頼性、省スペース性を同時に満たす必要があるとした。

今回の説明会でTIが打ち出した中核技術は、IsoShieldと「MagPack」の2つだ。MagPackは磁気部品をパッケージに統合する技術で、インダクターをICパッケージ内に組み込み、電源モジュールのフットプリントを最大50%削減する。ループ面積を抑えることでEMI特性の改善にもつながり、ディスクリート構成に比べて安定した性能を確保しやすいという。

IsoShieldは、高性能のプレーナートランスと絶縁電源段を単一のマルチチップパッケージに統合する技術。従来はコントローラーIC、外付けインダクター、トランス、数十点の受動部品をPCB上に分散して実装していたが、IsoShieldではこれらを1パッケージに集約でき、部品点数と設計リスクの低減につながるとしている。

パク氏は、従来ソリューションではトランスの高さが11mmだったのに対し、IsoShieldを採用した新製品では2.65mmまで薄型化したと説明した。数kV級の絶縁性能を維持しながら、パッケージ高さを5分の1に抑えた点が特徴だという。競合モジュールと比べてサイズは43%小さく、部品点数(BOM)は50%少ないとした。

◆車載とデータセンターの高電力密度需要を狙う

EV分野では、OBC(車載充電器)とDC-DCコンバーターへの適用を優先する。高電力側グラウンドと低電力側グラウンドの絶縁が必要なゲートドライバ用バイアス電源として使い、TIのゲートドライバ「UCC2651」と組み合わせることで、電力段からゲート出力まで単一ベンダーで構成できる。車載グレード製品はマイナス45℃からプラス125℃で動作する。

TCO低減の効果についてパク氏は、SiCモジュールの小型化とアナログ電源ソリューションの小型化は、いずれも基板面積の圧縮という同じ方向を向いていると説明した。

基板メーカーなどサプライチェーン上のパートナーへの影響については、変更はレイアウトの見直しにとどまり、追加対応が必要となるリスクは基本的にないとの認識を示した。市場での採用ペースについては、「UCC34141はフットプリント縮小と発熱対策を同時に実現する製品で、現在、主要ティア1企業やOEMで前向きに検討されている」と述べた。

データセンター分野では、NVIDIAと協力し、次世代AIデータセンター向けの800V DCリファレンス設計をAPEC 2025で公開した。パク氏は、データセンター向けインフラの拡大が続く中、ラックやサーバー向け電源では高電力密度ソリューションの必要性が一段と高まっていると指摘した。信頼性と安全性を維持しながら、性能と電力密度を両立することが目標だとしている。

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