Teslaが、米国内で太陽光パネルの年産100GW体制の構築を検討していることが分かった。Elon Musk CEOは、中国企業から29億ドル(約4350億円)規模の生産設備を導入する方向で協議しており、中国政府の輸出承認が今後のスケジュールを左右する可能性がある。
米Electrekが20日(現地時間)、Reuters報道を引用して伝えたところによると、設備調達先としてはSuzhou Maxwell Technologiesが有力候補に挙がっている。一部設備は早ければ今秋にもテキサス工場に搬入される見通しだが、実現には中国当局の承認が前提となる。
この計画は、Musk氏が世界経済フォーラムで示した「年100GWの太陽光製造」という目標に沿うものだ。2023年の米国の太陽光導入量は約32GWで、実現すればその3倍を超える規模となる。
Teslaは、原材料から完成パネルまでを含む一貫生産体制の構築を視野に入れている。太陽光分野のサプライチェーンを自社で押さえ、独立性の高い生産基盤を整える狙いがある。
背景にあるのは、電力需要の急拡大だ。AIデータセンターの増設に加え、電気自動車の普及も進み、米国の電力消費は高水準で推移している。Musk氏は、こうした需要を賄う現実的な選択肢として太陽光発電の重要性を繰り返し訴えてきた。
もっとも、Teslaの太陽光事業はこれまで順風満帆だったわけではない。2016年のSolarCity買収後に進めた「Solar Roof」プロジェクトは期待した成果を上げられず、設置量も減少傾向が続いた。かつて中核事業の一つとみられた太陽光部門は、その後存在感を失っていた。
一方で、エネルギー貯蔵事業は急成長している。Teslaは2025年に46.7GWh規模のエネルギー貯蔵設備を展開し、売上高は128億ドル(約1兆9200億円)に達した。自動車事業より高い収益性を示しており、新たな成長ドライバーとして位置付けられている。
今回の太陽光事業拡大は、MegapackやPowerwallといった蓄電製品と組み合わせることで、発電から蓄電、供給までを一体で手掛ける統合エネルギー事業への布石とみられる。
ただし、リスクも大きい。中国の輸出規制強化や米中間の技術対立は、設備導入の不確実性を高める要因となる。過去の太陽光事業で苦戦した経緯もあり、市場では慎重な見方が根強い。
業界では、実際の設備投資と生産ラインの立ち上がりを確認するまでは、100GW構想の実現性は判断できないとの声が出ている。今回の計画が構想にとどまるのか、それともTeslaがエネルギー企業としての色彩を強める転機となるのか、今後の動向が注目される。