KPMGは、社員2500人が8カ月間に作成したAIプロンプト約140万件を分析した結果、高度活用者は全体の5%にとどまったと明らかにした。成果を分けるのは利用頻度そのものではなく、AIをどう使うかだった。管理職層に高度活用者が多い傾向も確認された。
Harvard Business Reviewのオンライン版が19日、報じた。KPMGはテキサス大学オースティン校の研究チームと共同で調査を実施。OpenAIの推論モデル「ChatGPT o1」を使って各対話を評価し、50以上の変数を抽出した。
分析では、KPMG社員の90%がAIを定期的に利用していた一方、高度に使いこなしている社員はごく一部に限られた。
高度活用者に共通していた行動パターンは4つある。第1に、AIと長く反復的に対話し、最初のプロンプトから具体的で情報量の多い指示を与えること。第2に、AIを単なる回答生成ツールではなく、推論のパートナーとして活用すること。役割の設定や出力例の提示、反復的な改善といった手法を用いていた。第3に、複雑で多段階のタスクを任せる際、目標と制約条件を明確に示すこと。第4に、文章作成の補助といった単純作業にとどまらず、アイデア創出や分析、技術的助言まで幅広い領域でAIを使っていたことだ。
一方で、想定と異なる傾向も確認された。一般には若手社員の方がAIツールになじみやすいとみられがちだが、実際には管理職層で高度活用者が多かった。若手社員は業務外での個人利用の比率が高く、戦略的なアプローチを伴わない使い方に偏る傾向があったという。
KPMGは今回の結果を踏まえ、人材開発と成果管理の仕組みを見直した。導入率の引き上げを目指すのではなく、高度な利用習慣の定着に重点を置く。あわせて、実務シナリオに基づく教育も導入し、監査、税務、アドバイザリーなど事業部門ごとにAI活用の期待水準を分けて設定した。
KPMGは「AIツールを提供するだけでは不十分だ」としたうえで、「望ましいAI活用を明確に定義し、その行動を教え、定着させることが組織全体の成果につながる」と説明している。