EU支援の調査で、欧州で流通するヘッドフォン・イヤフォンから有害化学物質が検出された。写真=Shutterstock

欧州で流通する主要ブランドのヘッドフォン・イヤフォンから、有害化学物質が相次いで検出された。EU支援プロジェクトの一環として実施された調査では、対象となった81製品すべてで内分泌かく乱物質が確認され、このうち44%が「危険」と判定された。

この調査は、EU支援による有害化学物質低減プロジェクト「ToxFree LIFE for All」の一環として、チェコの環境団体Arnikaが実施したもの。Gigazineによると、中欧5カ国およびオンラインで販売されているヘッドフォン・イヤフォン81製品を調べた結果、全製品から内分泌かく乱物質が検出された。調査対象には主要なグローバルブランドも含まれていた。

評価は「皮膚に触れる部分」「皮膚に触れない部分」「製品全体」の3つの観点から行われた。全体では44%が「赤色(危険)」、42%が「緑色(低リスク)」、14%が「黄色(注意)」に分類された。とりわけ内部部品など皮膚に直接触れない部分では、黄色と赤色の比率が58%に達し、消費者が意識しにくい箇所でも化学物質にさらされる可能性が示された。

製品ごとの差も大きかった。グローバルブランドA社とB社の一部モデルは、すべての評価項目で「緑色」と判定された一方、同じブランドでも別モデルは「赤色」となるなど、結果は分かれた。C社の一部製品と子ども向けモデルは、非接触部位と全体評価で危険等級に分類された。

また、D社のゲーミングヘッドセットとE社の一部製品は、3項目すべてで「赤色」と判定され、相対的にリスクが高い製品群に分類された。

主な問題物質として挙げられたのは、ビスフェノールA(BPA)だ。BPAは調査対象の98%で検出され、規制対応の代替物質として使われるビスフェノールSも75%以上の製品で見つかった。一部の製品では、欧州化学品庁(ECHA)が提案する基準値を大きく上回る濃度も確認された。

ビスフェノール類は、体内のホルモン作用を妨げる内分泌かく乱物質として知られ、長期的には生殖機能や発達に影響を及ぼす可能性があるとされる。EUでも関連規制の強化が進んでいる。

専門家は、こうした化学物質が製品内部にとどまるとは限らないと指摘する。運動時などに熱や汗が生じると、皮膚を通じて体内に吸収される可能性が高まるためだ。ただ、今回検出された水準だけで直ちに健康被害を懸念する必要はないとしつつも、長期かつ反復的な曝露は潜在的なリスク要因になり得るとしている。

調査結果の公表後、一部の欧州小売業者は対象製品の販売を停止したり、取り扱いの見直しを進めたりしている。一方で一部メーカーは、自社製品は法的な安全基準を満たしていると反論し、調査データの透明性に疑問を呈したという。

専門家は、今回の結果は特定製品に限った問題ではなく、日常的に使う電子機器でも化学物質への曝露が起こり得ることを示しているとみる。メーカーには成分開示と管理体制の強化、規制当局にはより厳格な基準整備が求められるとの指摘が出ている。

調査報告書は、環境団体ArnikaのWebサイト(arnika.org)で閲覧できる。

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