Netflixは3月21日午後8時、ソウル・光化門広場で開かれるBTSの正規5集「アリラン」発売記念公演を、世界約190カ国に独占ライブ配信する。今回は外部CDNを使わず、自社CDN「Open Connect」で配信する計画で、大規模トラフィック下でも安定配信を維持できるかが注目されている。
過去のライブ配信では、一部イベントでインフラ面の課題が指摘された経緯がある。今回の大型公演を自社インフラだけで安定運用できるかが焦点だ。
Netflixによると、今回の配信はOpen Connectのみを使って実施する。送出は本社の中継エンジニアチームが韓国入りし、直接担当する予定だ。
Netflix関係者は「2023年から蓄積してきたライブ配信のノウハウを総動員し、今回のBTSカムバックライブの中継に万全を期している」と説明した。
Open ConnectはNetflixの自社CDNで、世界各地のインターネットサービスプロバイダー(ISP)網にサーバを直接設置し、コンテンツを分散配信する仕組みだ。2012年の導入以降、現在までに世界1000社超のISPがNetflixと協力ネットワークを構築している。
一方で、ライブ配信ではトラフィックが急増した際の対応力が課題となる。閉域網ベースの地上波放送は同じデータ信号を視聴者に一斉送信できるが、Netflixの配信は視聴者ごとに個別接続が発生するため、同時接続数の増加に応じてサーバ負荷も高まる。
通常のストリーミング配信では、需要の高いコンテンツをOpen Connectサーバにあらかじめ配置することで、トラフィック増にも対応しやすい。だが、ライブ配信は映画やドラマと異なり事前キャッシュできず、リアルタイム映像を数千万単位のセッションに同時配信しなければならない。このため、既存インフラでは対応が難しい可能性がある。
実際、2024年11月に世界ヘビー級王者マイク・タイソンと、ユーチューバー出身のプロボクサー、ジェイク・ポールの試合をライブ配信した際には、同時視聴者数が6500万人に達し、Open Connectが過負荷状態に陥った。今回のBTS公演の想定視聴者数は、主催するHYBEの推計で5000万人とされる。
Netflixは、ライブ配信の安定性確保に向けてインフラを高度化したとしている。カリフォルニアにライブ運用センターを設け、リアルタイム監視によって障害に即応できる体制を整えたと説明した。
年内には英国とアジアにもライブ運用センターをそれぞれ新設する計画で、グレッグ・ピーターズ共同CEOが1月の決算発表で明らかにしている。ただ、いずれも現時点では未設立で、今回のBTS公演の配信には活用されない。
安定配信に欠かせない韓国国内のISPとの連携を巡っても、足並みはそろっていない。NetflixはOpen Connectサーバを通じてリアルタイムコンテンツをISP網に流し、各ISPが国内利用者に届ける構図だ。同時接続が急増すればISP網に負荷が集中する可能性があり、十分な回線容量の確保がカギを握る。
通信業界では、回線増強に必要な費用をNetflixが負担していないため、障害発生時の責任範囲が不明確だとの指摘が出ている。2月上旬には、NetflixがKT、SK Broadband、LGU+などのISP各社に対し、今回のBTS公演のライブ配信で見込まれるトラフィック量を通知するにとどまったという。
あるISP関係者は「国際回線の増強や負荷分散など事前対応は進めたが、配信中に障害が起きれば利用者の不満はNetflixではなく通信会社に向かう。事前のトラフィック通知だけでは不十分で、Netflix側の実質的な協力が必要だ」と話した。
これに対しNetflix側は、韓国国内ISPとのピアリング方式に関する協議などについて、具体的なコメントを控えた。