Snowflakeは3月19日、デスクトップ向けAIアシスタント「Project Snowwalk」の研究プレビューを公開した。企業データと業務文脈を基盤に、自然言語の指示で複数工程にまたがる業務を安全に実行できるようにする。Snowflakeはデータ基盤にとどまらず、企業向けAI分野での展開を一段と強めている。
同社は2025年、非開発部門の現場ユーザー向けに「Snowflake Intelligence」を投入した。今回公開したProject Snowwalkは、その流れをさらに進めるものとなる。
Snowflake Intelligenceが、企業データに対する質問を通じて業務上のインサイトを得るためのAIチャットインターフェースであるのに対し、Snowwalkは実際の業務実行まで担う点が特徴だ。
Snowflakeは、Snowflake IntelligenceとProject Snowwalkを通じて、企業ユーザーがAIを活用する際の入口としての存在感を高める狙いだ。これまでSnowflakeのプラットフォームは、主に開発者やデータ担当者が利用し、現場ユーザーはBIツール経由で間接的に触れるケースが多かった。新たな製品群により、非開発部門のユーザーにも利用範囲を広げ、バックエンド基盤からフロントエンドの生産性向上ツールへと役割を拡張する。
同社によると、Project Snowwalkは、部門をまたぐ現場社員が対話型の自然言語プロンプトで指示するだけで、複数工程の業務を安全に実行できるよう支援する。取締役会向けの見通しスライド作成、解約リスクの高い顧客を抽出するスプレッドシート作成、維持戦略の提案書作成、サプライチェーンのボトルネック特定など、単純な作業から複雑なワークフローまで一連の業務を自律的に処理するという。
差別化要因としてSnowflakeが挙げるのは、Project SnowwalkがSnowflakeプラットフォームに直接組み込まれ、管理された企業データと文脈を基盤に動作する点だ。
同社は、ガバナンスが適用された指標、共有されたビジネス定義、クロスクラウドの相互運用性、セキュリティと監査機能を備えた単一の全社共通データソースを土台にすることで、単なる生産性向上にとどまらず、実際の業務成果につながる支援が可能になると説明した。
クリスティアン・クライナーマン氏(Snowflake 製品部門 上級副社長)は19日、Snowflake Korea主催の記者懇談会で、Project Snowwalkについて「プロジェクトマネジャー、営業、財務など、企業の現場に合わせたスキルを定義した」と述べ、「エージェンティックAIがもたらす仕事の未来を示す好例だ」と強調した。
SnowflakeのAI戦略は、開発者と現場担当者の双方を対象としている。製品ポートフォリオでは、「Cortex AI」と「Cortex Code」を開発者など技術者向け、「Snowflake Intelligence」とProject Snowwalkを非開発部門の企業ユーザー向けに位置付ける。
Cortex AIはSnowflakeのAI製品群を支える基盤インフラで、コーディングAIサービスのCortex Codeもこの基盤上で開発された。Snowflake Intelligenceは、現場ユーザーがSnowflake上のデータに質問し、インサイトを得ることを支援する。クライナーマン氏は、Snowwalkについて、企業内の多様な役割と文脈を反映しつつ、Snowflake IntelligenceとCortex Codeの強みを組み合わせたものだと説明した。
Snowflakeは同日の懇談会で、Project Snowwalkに加え、エージェンティックAI時代を見据えた全体戦略も示した。チェ・ギヨン氏(Snowflake Korea支社長)は、主要な論点として、主要AIプロトコルの台頭、オープンソース基盤モデルの高度化、マイクロエージェントの広がり、コア技術の進化を挙げた。
チェ氏は、大規模な一発勝負を狙うよりも、まずは小さくAIエージェントの構築を始め、拡張しながら複数のAIエージェントを接続していくことが、エンタープライズ市場では重要だと指摘した。そうした取り組みを進めるための環境は、すでに整っているとも語った。
Snowflakeは、企業のAI導入における現実的な課題にも言及した。レガシーなプロセスやツールに縛られ、AIイニシアチブの95%が失敗するというMITの調査や、AIプロジェクトの30%が文脈不足やハルシネーションによって中断されるとするDeloitteの資料を引用。そのうえで、解決に向けた中核要素として、統合データ基盤、ビジネスロジックと文脈の理解、ワークフロー全体へのAI統合を挙げた。