Nykaaで販売を開始したAPRの「Medicube」製品。写真=Nykaa公式サイト

APRがインド市場に参入した。米国、日本、欧州に続く展開で、市場ごとに販路戦略を分けながら海外事業の拡大を進める。米国と日本では直販(B2C)と企業間取引(B2B)を併用する一方、インドでは欧州と同様にB2Bを軸とする。

業界関係者によると、APRはこのほどインドの美容プラットフォームNykaaと戦略的パートナーシップを結び、「Medicube」の販売を始めた。Nykaaはオンラインとオフラインの両チャネルを展開するインドの主要美容流通企業で、APRは同社を通じて現地での販路拡大を急ぐ。

インドでは中間層の拡大とデジタルコマースの成長を背景に、美容・パーソナルケア市場が拡大している。インド・ブランド資産財団(IBEF)の報告書によると、市場規模は2024年の280億ドル(約4兆2000億円)から、2028年には340億ドル(約5兆1000億円)に拡大する見通しだ。

APRの海外展開は地域ごとに手法が異なる。上場前から進出していた米国と日本では、当初はオンライン直販を前面に出して参入し、その後は現地流通での取り扱い拡大を進める形でB2Bも組み合わせる戦略を取ってきた。これに対し、欧州ではB2B流通を優先している。

日本ではAmazon、Qoo10、RakutenなどのECチャネルで先行して直販を展開し、その後はドラッグストアやバラエティーショップ向けの流通も並行して進めている。米国でも2025年下半期から大型美容小売店のULTA Beautyでの取り扱いを開始し、B2B販路を広げた。

欧州では当初、現地の総代理店や代理店を通じたB2B中心で参入した。一方、取り扱い規模に限りがあることから、今後は直販チャネルの拡充も検討している。2025年10月には英国AmazonとTikTok Shopの運営も始めており、インドでもこれに近い手順を踏む可能性がある。

金融監督院の電子公示システムによると、APRの販売チャネル構成比は、2024年がオンライン75.8%、オフライン24.2%だったのに対し、2025年3Qはオンライン66.1%、オフライン33.9%となった。オフライン比率は上昇傾向にある。オンラインには自社モールとその他EC販売先、オフラインには免税店とB2Bなどが含まれる。

APRはまず化粧品で現地市場に足場を築き、その後にデバイスへと広げる形で商品群の拡充を進めている。美容デバイスは化粧品に比べ、海外市場への投入を慎重に進める傾向があるという。

デバイスの流通形態そのものは基本的に化粧品と似ているが、関連規制や国ごとの認証手続きの影響で、立ち上がりは化粧品より遅くなりやすい。地域によって美容デバイスへの受け止め方も異なる。APRはインドについて、高温多湿の気候を踏まえ、まずは基礎スキンケア製品で認知を高めることが重要だと判断した。

直近の売上構成でも、化粧品の比重拡大が目立つ。2024年通期の化粧品売上高は3385億ウォン(約372億円)で全体の46.8%、デバイスは3126億ウォン(約344億円)で43.3%だった。2025年3Q累計では、化粧品売上高が6643億ウォン(約731億円)で67.8%まで上昇した一方、デバイスは2842億ウォン(約313億円)で29.0%だった。

APRは英国でデバイス販売も進めているが、認証手続きなどの問題があるため、足元では化粧品展開を優先している。インドでも現時点でデバイス販売は行っていない。

当面は、インドでのMedicubeスキンケア製品の定着に注力する方針だ。Nykaaのオンライン、オフライン両チャネルで販売基盤が固まれば、将来的にはデバイス展開につなげる考えとみられる。

APR関係者は、インド市場への参入はまだ初期段階だとして詳細な戦略の開示を控える一方、今後も化粧品の流通網拡大に注力する方針を示した。

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