韓国で、ステーブルコインの発行主体を銀行中心からフィンテック企業などにも広げる方向で、共に民主党のデジタル資産TFと金融委員会が折衷案をまとめた。ただ、デジタル資産基本法は19日に開かれる党政協議の議題から外れ、制度整備は再び先送りされた。
国会と業界関係者によると、共に民主党と金融委員会は19日、ソウル・汝矣島の国会で党政協議を開く。中東情勢の悪化を受けた為替・株式市場の動向や補正予算などの懸案を協議する予定だ。
一方、デジタル資産基本法は今回の会議では扱われない見通しだ。当初、政府と与党は5日に党政協議を開き、同法案の最終案を議論する計画だった。
しかし、中東情勢の悪化で株式市場の変動が大きくなり、会議日程は後ろ倒しとなった。その後も法案審議は後回しの状態が続いている。政府が今年第1四半期の重点課題としてステーブルコインの規律体系整備を掲げていたことを踏まえると、3月中の立法目標は厳しさを増している。
こうした中、民主党TFと金融委員会は、従来の銀行中心の枠組みを見直し、中央政府や地方自治体、公的機関にも発行参加を認める一方、フィンテック企業が発行を主導できるようにする折衷案を用意した。
金融委員会はこれまで、韓国銀行の意見を踏まえ、銀行が発行コンソーシアムの持ち分の50%プラス1株を保有する案を検討してきた。ステーブルコインが通貨や決済の機能を持ち得ることから、安定性を優先したアプローチだった。
これに対し、政界や業界では、銀行主導が強まりすぎればフィンテック企業などの参入を阻み、市場形成を遅らせかねないとの反論が根強い。
今回の折衷案は、銀行の役割を維持しつつ発行主体の裾野を広げ、制度運用の柔軟性を確保する狙いがある。ただ、まだ最終案ではなく、今後の党政協議の過程で再調整される可能性がある。
発行主体を巡る議論とは対照的に、法人によるデジタル資産市場への参加については、当局の慎重姿勢がより鮮明になっている。
金融委員会が準備している法人向けデジタル資産取引ガイドラインでは、ステーブルコインを投資対象から外す案が検討されているとの観測も出た。これに対し金融委員会は、ステーブルコインなど特定のデジタル資産を投資対象から除外するかどうかは、まだ決まっていないと明らかにした。
当局が慎重姿勢を崩さない背景には、ステーブルコインが単なる投資対象にとどまらず、決済や送金へ機能が広がり得る点がある。政府は下半期の重点課題として、越境ステーブルコイン取引の規律案や外国為替取引法の改正などを進める方針だ。
制度整備が完了していない段階で、法人取引や活用範囲だけを先に広げれば、外国為替規制やマネーロンダリング対策、会計基準など関連制度の見直しが後追いで必要となり、負担が膨らむ可能性がある。
金融機関のデジタル資産市場参入を巡る議論も同じ流れにある。金融当局が2017年以降維持してきた金産分離規制について、9年ぶりに段階的な緩和を検討していると伝えられている。
銀行や証券会社による直接保有や自己資本運用を先に認めるのではなく、ブロックチェーンインフラ企業やカストディ事業者への持ち分投資から認める方向だ。市場への衝撃が比較的小さい領域から、順次開放する考え方とみられる。
市場では、ウォン建てステーブルコインの制度化が遅れれば、ドル建てステーブルコインの拡大に対応する時間を失いかねないとの見方も出ている。
業界関係者は「発行、流通、投資、決済の各機能を同じペースで開放しない方針のようだ」としたうえで、「発行の門戸を広げて制度圏の参加を拡大する一方、法人投資や実利用については、リスク波及や外国為替規律の問題を点検しながら段階的に認める形が、今回の折衷案に近い」と話した。