写真=マイケル・セイラー会長の公式サイトより

暗号資産市場で、Strategyが発行する優先株「STRC」を巡る議論が広がっている。年11.5%の配当水準が、2022年に崩壊したテラUSD(UST)を想起させるとして、その持続性やリスクを疑問視する声が出ているためだ。一方で、STRCは企業が発行する優先株であり、USTのようなアルゴリズム型ステーブルコインとは構造が異なるとの見方もある。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが3月13日付で報じたところによると、STRCは額面100ドルベースで年11.5%の配当をうたう変動金利型の永久優先株。2025年7月には約9%でスタートし、その後は利回りが上昇してきた。市場では、この高配当を背景に、かつて約20%の利回りで資金を集めたテラのエコシステムと重ねて見る向きが出ている。

テラは、2022年の暗号資産市場を代表する破綻事例の一つとされる。アルゴリズム型ステーブルコインのUSTは、関連トークンであるLUNAとの発行・焼却メカニズムを通じてドルペッグを維持する設計だった。

しかし、ひとたび信認が崩れると、UST保有者が一斉に償還に動き、その過程でLUNAが大量に発行された。LUNAの価格下落はUSTへの不信をさらに強め、償還とLUNA増発が連鎖的に進む悪循環に陥った。

最終的には数日間で約450億ドル相当の市場価値が失われる「デススパイラル」が発生した。テラの共同創業者クォン・ドヒョンは、関連する詐欺事件で懲役刑の判決を受けた。

こうした経緯を踏まえ、市場の一部ではSTRCについても、高配当で資金流入を呼び込み、その資金が基礎資産の価格を支える構図がテラに似ているとの指摘が出ている。

もっとも、両者には明確な違いもある。STRCはアルゴリズム型ステーブルコインではなく、企業が発行する優先株だ。ビットコイン保有資産を裏付けとする仕組みで、プロトコルレベルでトークン供給を無制限に拡大する構造は持たない。

この優先株は、約73万BTCに上るビットコイン保有資産を裏付けとしている。供給が自動的に膨張する仕組みではないため、テラと同じパターンで短期間に崩壊する可能性は低いとの見方もある。

ただ、リスクがないわけではない。アナリストは、STRCの配当が保証された固定収益ではなく、同社の財務状況とビットコイン価格に大きく左右される点を挙げる。

配当は取締役会の決定に基づき毎月宣言される仕組みで、減額や停止も可能だ。STRCは満期のない永久優先株であり、価格の下支えや預金保護制度のようなセーフティーネットもない。資本構成上は、社債や他の優先株より劣後する位置付けにあるという。さらに、株主承認を経ずに公募で追加発行できる仕組みも持つ。

実際、同社は最近、STRCを約370万株販売し、約3億7000万ドル(約555億円)を調達した。調達資金はビットコインの追加購入に充てられた。この手法は、ビットコイン相場が上昇局面にあれば追い風となる一方、下落局面では財務負担を膨らませる可能性があると指摘されている。

同社が保有するビットコインの平均取得価格は約7万5860ドルとされる。ビットコインが長期の下落局面に入れば、担保価値が低下する一方で配当負担が残る構図になりかねない。

一方、STRCの支持者は、同商品を新たな金融スキームとして位置付ける。債券需要を吸収してビットコインへ資金を振り向ける仕組みを構築し、長期的にはビットコインを基盤とした新たな信用市場の形成につながるとみる。既存の社債より高い利回りを示しつつ、満期や借り換えリスクを抑えられる資金調達手段になり得るという主張だ。

市場の関心は、STRCがテラ型の崩壊リスクを抱えた危うい金融商品なのか、それともビットコインを軸にした新たな資本市場モデルなのかという点に集まっている。専門家は、STRCを固定収益の債券としてではなく、ビットコイン価格に連動する高リスクの収益商品として捉えるべきだと指摘している。

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