放送・メディア政策の司令塔となる放送メディア統合委員会が発足し、10年以上停滞してきた「メディア統合法」議論が再び動き出した。NetflixやYouTubeなどの動画プラットフォームが主流となるなか、地上波・有線放送中心の旧来の制度をどう見直すかが政策課題として浮上している。
放送メディア統合委員会は19日、政府果川庁舎で「統合メディア法制整備に向けた外部専門家懇談会」を開いた。キム・ジョンチョル委員長が出席し、法律事務所Sejongのイ・ジョングァン首席専門委員が「メディア環境の変化に伴う統合法制推進の必要性」をテーマに発表した。
討論には、カン・ジュンソク情報通信政策研究院(KISDI)室長、キム・ナムドゥ博士、ノ・チャンヒデジタル産業政策研究所長、イ・ナムピョ慶熙大学客員教授、イ・ジョンウォン博士らが参加した。
会合では、OTTやFAST(広告型無料ストリーミングテレビ)などをめぐる急速な環境変化を踏まえ、統合的な法制度の必要性が議論された。出席者の1人は「放送メディア統合委員会の第1期体制でメディア統合法制のロードマップを描き、積み残しとなっている課題を点検する趣旨だ」と説明した。
現行のメディア関連法制は、2000年の放送法改正を基盤としている。制度設計当時は、NetflixやYouTubeのようなグローバル動画プラットフォームの登場を想定していなかった。
その後、OTTは急成長し、従来型の放送と同等の影響力を持つようになった。一方で、制度整備の遅れから規制の空白が生じ、規制の公平性や視聴者保護を巡る議論が続いてきた。
メディア統合法の制定はこれまでにも複数回試みられている。2019年にはキム・ソンス議員らが、OTTを放送制度に組み込む「統合放送法」を発議したが、業界の反発に加え、国会の任期満了で廃案となった。
2023年には、放送通信委員会第5期が推進した「視聴覚メディアサービス法」も頓挫した。科学技術情報通信部が重視する産業振興と、放送通信委員会が担う規制の在り方を巡り、両者の隔たりが埋まらなかったためだ。
昨年6月に第22代国会が発足した後は、国会の科学技術情報放送通信委員会(科放委)で、チェ・ミンヒ委員長主導の統合法タスクフォース(TF)が立ち上がり、関連法制の再検討に期待が集まった。ただ、「放送4法」を巡る与野党対立の影響で、当初予定していた8月の法案公開は見送られた。
今回の放送メディア統合委員会の発足により、停滞していた統合法制の議論に改めて推進力が加わる可能性がある。新旧メディアを包括しつつ産業成長も支援するという大枠は従来案を引き継ぐ一方、放送・メディア統合の司令塔の下で、具体的な制度設計はこれまでと異なる可能性もある。
キム・ジョンチョル委員長は新年のあいさつで、「統合メディア法制」の構築を加速する方針を示し、「急変する環境を反映し、個別法に分散した規制体系を統合・整備するとともに、メディアサービス間の規制の公平性を高める」と述べた。
第1期の放送メディア統合委員会が構想する統合法制の柱は、サービスの性格に応じて規制水準を組み替える水平規制の導入だ。これまでは地上波、ケーブル、IPTVなど伝送手段ごとに法律を分けて規制してきたが、同じドラマを提供していても、放送法の適用を受ける地上波と異なり、Netflixは規制対象外だった。
今後はコンテンツやサービスの性格に応じて再分類し、規制の公平性をそろえる方向が検討されている。例えば、Netflixと地上波ドラマをともにVODとして扱い、同一の基準を適用する案や、YouTube Liveと地上波の生放送をいずれもリアルタイム配信として同水準の規制対象とする案が取り沙汰されている。
もっとも、制度化に向けた課題はなお多い。焦点となるのは、国会の立法意思と利害関係者間の調整だ。事情に詳しい業界専門家は「最終的には国会が処理すべき問題だが、2015年と2019年はいずれも頓挫した。議論不足というより、立法意思の問題だ」と指摘した。
同専門家はそのうえで、「エコシステムの構成員が非常に多く、利害調整も難しい。社会的協議体や官民協議体を通じた議論が必要だ」と強調した。
海外事業者に対する規制の公平性や、公営放送と民間放送を法的に切り分ける考え方も争点となる。学界の専門家は「欧州連合(EU)ではデジタルサービス法(DSA)やデジタル市場法(DMA)を通じてグローバルビッグテックへの規制を進めており、国際的にも立法を前に進める事例がある。韓国も緻密に対応すべきだ」と述べた。
さらに同専門家は「公営放送はその役割を明確にし、民間放送にはより高い自律性を認めるべきだ」と主張した。
科学技術情報放送通信委員会は、チェ・ミンヒ委員長の主宰で26日に「メディア統合法制公聴会」を開く予定だ。