NaverとDaumの明暗が、AI戦略の差として鮮明になってきた。Naverは検索サービスに生成AIを組み込み、国内検索シェアを回復した。一方のDaumはAI対応の遅れでシェアが3%を下回り、運営会社AXZの売却観測も浮上している。
市場調査会社インターネットトレンドが20日に公表したデータによると、Naverの2025年の検索シェアは62.86%となり、前年から4.72ポイント上昇した。
Naverが3年ぶりに60%台を回復した背景には、生成AI機能「AIブリーフィング」の導入がある。検索体験の高度化が利用者の定着につながった格好だ。
同社は健康、証券、公共情報など、正確性が重視される分野を中心にAIブリーフィングの適用を広げてきた。上級総合病院や学会など信頼性の高い情報源をもとに、AIが回答を要約して提示することで、ハルシネーションへの懸念を抑え、利用者満足度の向上につなげたとしている。
これは、Googleなど海外大手との競争の中で、Naverが韓国市場に特化した精緻なデータを差別化要因として打ち出したことを意味する。検索結果を並べるだけでなく、検証済みの情報を整理して示す機能が、シェア防衛の中核になったとみられる。
一方、DaumはAIシフトに乗り遅れた。2025年の検索シェアは2.94%まで低下し、Bing(3.12%)を下回って4位となった。2014年のKakaoとの合併以降、検索などポータル本来の機能への投資が限られていたうえ、競合各社がAI検索へ舵を切る局面でも有効な対応策を打ち出せなかったことが響いた。
利用者減少は業績にも波及している。ポータル事業の売上高は2021年の4925億ウォンから、2024年には3320億ウォンへ縮小した。
足元では、Kakaoが子会社AXZ(Daum運営会社)をAIスタートアップのUpstageに売却する案を検討しているとの見方が業界内で広がっている。UpstageがAXZ株式の100%を取得し、Kakaoが対価としてUpstageの新株を受け取る株式交換方式が取り沙汰されている。
こうした観測の背景には、両社の利害の一致がある。Kakaoはチョン・シナ代表の体制移行後、「選択と集中」を掲げて事業再編を進めており、系列会社数はかつての147社から2025年末には94社まで減った。収益性が悪化したDaumの直接運営負担を軽くしつつ、有望なAI企業であるUpstageへの持ち分を確保できれば、AIエコシステムへの影響力維持につながるとの見方が出ている。
一方、上場を控えるUpstageにとって、Daumは有力なデータ資産となる。Daumが約30年にわたり蓄積してきたニュース、カフェ、Tistoryなどの大量の韓国語テキストデータは、大規模言語モデル(LLM)の学習に活用できるためだ。さらに、自社開発LLM「Solar」を実サービス環境で適用できる大規模なテストベッドを確保できる点も大きい。
今回の売却論議については、国内インターネット産業の重心が検索中心から生成AI中心へ移ったことを象徴する動きだとの見方もある。DaumがUpstage傘下でAI特化型ポータルへの転換に成功すれば、従来の検索シェア競争とは異なる、目的別の情報探索プラットフォームとして再生する可能性もある。
業界関係者は、今回の動きについて「単なるオーナー変更を伴うM&Aではなく、第1世代Webポータルが保有する膨大なデータが、AIという新しいエンジンと結び付いたときにどう進化するかを試すケースになる」と指摘した。そのうえで、「Naverが検索のAI化を進めたのに対し、Upstage主導のDaumはポータルのAIエージェント化という新しいモデルを証明できなければ生き残りは難しい」との見方を示した。