暗号資産の機関投資家向けマーケティング企業Etherealizeの共同創業者、ビベク・ラマン氏とダニー・ライアン氏は、Ethereumが金融機関のオンチェーン戦略で中核的な地位を固めつつあるとの見方を示した。米国の規制環境の変化が追い風になっているとして、ラマン氏は2026年末にETH価格が1万5000ドルへ達する可能性にも言及した。
ブロックチェーンメディアCoinDeskが1月16日(現地時間)に報じた。ラマン氏はCoinDeskの市場見通し番組で、Solanaなど代替チェーンへの関心が高まるなかでも、BlackRock、Fidelity、JPMorganといった大手金融機関は、なおEthereumをオンチェーン戦略の基盤として選んでいると述べた。
ライアン氏も、「機関投資家が求めているのはミームコインのカジノではない」と強調した。金融市場を根本から再設計するには、実績のあるインフラが必要だとし、Ethereumについて、ほぼ100%の稼働実績を持ち、カウンターパーティーリスクを抑えやすく、最も長い運用実績を持つスマートコントラクト基盤だと説明した。そのうえで、機関投資家の採用で先行していると位置付けた。
両氏は、Ethereum採用が加速している背景として、米国の規制環境の変化を挙げた。市場構造法案(クラリティ法案)の整備は遅れている一方、GENIUS法案がステーブルコインにおけるパブリックブロックチェーンの活用を後押しし、大きな転換点になったと分析している。
ラマン氏は、GENIUS法案が銀行やブローカーディーラーに対し、ブロックチェーンインフラの活用はもはや危険な賭けではないというシグナルを送ったと説明した。さらに、この法案によって、伝統的な金融機関は市場構造全体の見直しを待たなくても、数十億ドル規模のトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)や実物資産をEthereum上で展開できるようになったとした。
実例も出始めている。資産運用大手BlackRockのトークン化ファンド「BUIDL」はEthereumで立ち上がった後、Solana、Polygon、Arbitrumへと展開を広げ、運用資産は20億ドルを超えた。JPMorgan Chaseも昨年12月、約1億ドルを投じ、Ethereum基盤のトークン化MMFを開始したと発表している。
今後の見通しについて、両氏は強気の姿勢を示した。ラマン氏は、Ethereumの時価総額が現在の数千億ドル規模から数兆ドル規模へと再評価される可能性があるとし、2026年末に価格が1万5000ドルに達する可能性があると語った。Ethereumは現在、3200ドル前後で推移している。
その根拠として、ステーブルコインと実物資産連動型トークン(RWA)市場が5倍に成長する可能性に加え、Ethereumがビットコインに似た「利回りを生む価値保存手段」として台頭し得る点を挙げた。ラマン氏は「Ethereumは文明のインフラだ」と述べ、時価総額が2兆ドルに達しても、主要なグローバル技術企業と比べればなお小さい規模にとどまると付け加えた。
大規模な資本流入にEthereumが対応できるのかという懸念に対しては、ライアン氏が「Ethereumはすでに本格普及に対応できる段階にある」と応じた。直近のプロトコルアップグレードとレイヤー2の拡張によって、ガス上限やデータ可用性は大きく改善したと説明している。
プライバシーも重要な論点として挙がった。ライアン氏は、ゼロ知識証明(ZK)の活用によって機関投資家が求めるプライバシー要件に対応しつつあると説明した。公開ブロックチェーン上で個人取引や機密性の高い市場取引を扱えるようにするZKベースの技術スタックを、機関投資家と共同で開発していることも明らかにした。