SK AXのチェ・ヘウォンCoE長は16日、AI時代のITサービス企業について、「まず自社で実践し、そこで得た知見を顧客へ展開する形へ転換すべきだ」との考えを示した。AI導入によって競争力の源泉は人員投入量からAXの実行力へ移っており、価格体系や標準契約の見直しも必要だと訴えた。
チェ氏は、ITサービス産業協会が開催した「2026年ITサービス産業 市場・技術展望セミナー」で講演し、実践を通じて蓄積したノウハウを顧客と共有する重要性が高まっていると述べた。
同氏は、SK AXでも全社でAI活用を広げていると説明。「実際にやってみると、顧客に説明する際の説得力が違ってくる」と語った。
その上で、AIの普及によってITサービス産業の競争軸は、従来の人員投入型から、AXを通じてどのような価値を継続的に生み出せるかへ移りつつあると指摘した。
チェ氏は「AXは単なるコスト削減の手段ではなく、産業のゲームルールを根本から変える戦略的なてこだ。重要なのはAIツールを導入したかどうかではない。価格設定、デリバリーモデル、人材構造そのものを変えられるかが核心だ」と述べた。
これに関連して、チェ氏はSK AXが社内の競争力強化に向けて進めている複数のAX事例も紹介した。
SK AXは、コスト削減よりも競争力の本質的な強化に軸足を置き、各業務でAI活用を加速している。AIで代替できる領域は最大限活用し、人材はAIでは担えない業務に集中させる方針だという。
人材に求められる役割も変わる。チェ氏は「人の中核能力は、文章作成から関係構築へ移っている。提案書作成や顧客企業の調査はAIで進め、人は意思決定者の把握や対面コミュニケーション、深層インタビューを通じて顧客の潜在ニーズを掘り起こし、信頼構築に集中すべきだ」と話した。
一方で、AIがもたらす変化のスピードと、ITサービス産業が抱える構造的な制約とのギャップは広がっているという。人月ベースの等級別単価や非効率な人員投入構造が残ることで、中核人材の疲弊やリソースの無駄が生じ、人材流出にもつながっていると指摘した。
チェ氏は「発注側と受注側が合意した新たな単価基準と標準契約がなければ、AXへの転換は定着しない」とした上で、「個社だけでは対応できない課題であり、関連団体と積極的に連携していく」と述べた。