世界のテック大手がAIエージェントを活用したショッピング機能を相次ぎ打ち出すなか、国内EC各社も対応を本格化させている。生成AI経由の流入が急増していることを受け、商品データの構造化投資を進める動きが広がっている。
OpenAIはこのほど、ChatGPTベースの汎用AIエージェント「Operator」にショッピング機能を組み込んだ。商品を探すだけでなく、Webサイト上でのクリックや配送先の入力など、購入前の手続きを代行する。
あわせて、AI向けの決済標準「Agentic Commerce Protocol(ACP)」も公表した。ShopifyやWalmartなどと連携し、標準化を通じた決済エコシステムの構築を進めている。
Googleは自社AIモデル「Gemini」を基盤に、決済まで含めたショッピングエージェントを構築した。外部アプリに移ることなく、商品探索から注文までを一貫して処理できる点を打ち出している。
Amazonもショッピングアシスタント「Rufus」を通じて、指定した価格に達した際に自動で購入する「Auto-Buy」機能を披露した。
こうした流れを受け、国内企業もAIとショッピングの融合を急いでいる。背景には、生成AIサービスからECサイトへの流入が大きく伸びていることがある。
SSG.comでは、昨年10~12月期の生成AI経由の流入量が前年同期比で約2700%増加した。会社側によると、新世界グループが運営するデザイナーファッションプラットフォーム「W Concept」でも、同期間の生成AI経由のトラフィック流入は前年比1300%増となった。
検索窓にキーワードを入力する代わりに、AIと対話しながら買い物を始める消費行動が広がり始めたとの見方もある。流通業界関係者は「生成AIサービスの利用拡大に伴い、それを経由したプラットフォームへの流入も急増している」と話す。
国内各社は、グローバルのAIエージェントが自社の商品情報を正確に読み取り、適切に解釈できるよう、商品データの構造化にも投資を広げている。AIによる商品推薦を受けやすくする狙いがある。
AIエージェント主導のショッピングが広がることで、EC市場の競争環境が変わる可能性にも関心が集まっている。購買の入り口をAIエージェントが握るようになれば、大手プラットフォーム中心の構図が揺らぐ可能性があるためだ。
EC業界関係者は「フロントをAIが担うことはリスクである一方、好機でもある。データを最適化し、エージェントに選ばれる可能性を高めることが重要だ」と指摘する。そのうえで、「巨大プラットフォームの独占力が弱まる一方で、物流や商品力といったコマースの本質的な価値が、これまで以上に重要になる」と述べた。