Bank of Americaのブライアン・モイニハンCEOは、利払い型ステーブルコインが広く普及した場合、米国の銀行システムから最大6兆ドル(約900兆円)の預金が流出する可能性があると警告した。これは米商業銀行の総預金の約30〜35%に相当するという。
Cointelegraphによると、モイニハンCEOは15日の第4四半期決算説明会で、ステーブルコインが銀行預金の代替手段となれば、銀行の融資余力が低下し、借入コストの上昇につながりかねないと述べた。こうした見方は、米財務省の研究を踏まえたものだとしている。
同氏は、利払い型ステーブルコインについて、現金や中央銀行準備、短期国債などを保有するマネー・マーケット・ファンド(MMF)に近い仕組みだと説明した。資金が銀行貸出に回らず、銀行システムの外側に移ることで、預金基盤が弱まる恐れがあるという。
その結果、家計や企業向け融資の余力が細り、銀行はより高コストなホールセール調達への依存を強めざるを得なくなると指摘した。モイニハンCEOは「預金流出は最終的に融資の縮小と金融コストの上昇につながる」と強調した。
特に影響が大きいのは中小企業だとみている。大企業に比べて資本市場へのアクセスが限られ、銀行融資への依存度が高いため、預金減少がそのまま借入コストの上昇に結び付きやすいとした。
こうした懸念を背景に、米議会では利払い型ステーブルコインを制限する立法論議が進んでいる。ティム・スコット上院銀行委員長が公表した暗号資産の市場構造法案の草案には、ステーブルコインを保有するだけの利用者に利息や利回りを支払う行為を禁じる条項が盛り込まれた。一方、ステーキングや流動性提供に伴う報酬は認める内容となっている。
これに対し、暗号資産業界は反発している。Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは法案を批判し、上院が銀行を保護するためにステーブルコインの報酬を制限しようとしているとして、法案への支持を取り下げた。あわせて、トークン化株式への規制や、暗号資産送金に対する政府監視の強化につながる可能性にも懸念を示した。
一方、a16z cryptoのクリス・ディクソン氏は、法案は完全ではないとしつつも、米国が暗号資産イノベーションの主導権を維持するには立法が必要だと主張した。