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韓国の科学技術情報通信部は1月15日、国産の独自AI基盤モデルを選定するプロジェクトの一次評価結果を公表した。LG AI研究院、Upstage、SK Telecomの3陣営が二次評価に進み、Naver CloudとNC AIは選外となった。政府はあわせて、追加で1陣営を公募する方針も明らかにした。

今回のプロジェクトには、Naver Cloud、Upstage、SK Telecom、NC AI、LG AI研究院の5コンソーシアムが参加した。科学技術情報通信部、情報通信産業振興院(NIPA)、韓国情報通信技術協会(TTA)は、各陣営との複数回の協議を経て、一次評価の方式と基準を定めたとしている。

一次評価は、ベンチマーク評価、専門家評価、ユーザー評価の3本柱で実施した。AIモデルの性能を示す「AI Frontier Index」に加え、実利用のしやすさや費用対効果、国内外のAIエコシステムへの波及可能性などを示す「AI Diffusion Index」を総合的に評価した。

このうち40点満点のベンチマーク評価は、NIAベンチマーク評価(10点)、グローバル共通ベンチマーク評価(20点)、グローバル個別ベンチマーク評価(10点)で構成した。

NIAベンチマーク評価では、数学、知識、長文理解に加え、AI安全研究所と連携して信頼性・安全性も検証した。グローバル共通ベンチマーク評価では、エージェント、数学、知識・推論、指示追従など、国際的に広く用いられる13種類の指標を採用した。グローバル個別ベンチマーク評価では、各陣営が目標とするSOTA級モデルと比較可能な5種類の指標で測定した。

NIAベンチマーク評価では、SK TelecomとLG AI研究院がともに9.2点で最高だった。グローバル共通ベンチマーク評価ではLG AI研究院が14.4点で首位となり、グローバル個別ベンチマーク評価ではUpstageとLG AI研究院がともに10.0点を獲得した。

35点満点の専門家評価は、産学研の外部AI専門家10人で構成する評価委員会が担当した。各陣営の提出資料を長期間にわたって精査し、開発戦略と技術力、開発実績と今後の計画、波及効果や社会的貢献の見通しを総合評価した。

委員会は、各陣営が公開したモデルごとのテクニカルレポートや、AIモデルの学習過程に関するログも分析し、開発プロセスや独自性を含む技術力を検証した。その結果、LG AI研究院が31.6点で最高点を記録した。参加5陣営の平均は28.56点だった。

25点満点のユーザー評価には、AIスタートアップの代表ら49人の専門ユーザーが参加した。各陣営が開発したAIモデルを用いたWebサイトをもとに、現場での活用可能性や推論コストの効率性を評価した。LG AI研究院は平均20.76点を4点超上回る高評価を得た。

一方、選定結果を巡っては、Naver Cloudの扱いが波紋を広げそうだ。科学技術情報通信部は当初、5陣営のうち1陣営を脱落させる方針だったが、最終的にNC AIに加えてNaver Cloudも一次評価を通過しなかった。

科学技術情報通信部によると、Naver Cloudはベンチマーク評価では一定の基準を満たしたものの、政府が定めた「独自性基準」をクリアできなかった。公募要項では、独自AI基盤モデルを「海外モデルのファインチューニングなどで開発した派生モデルではなく、モデル設計から事前学習までを自ら手がけた国産モデル」と定義している。

技術面では、独自のアーキテクチャ設計に加え、大規模データの自前での確保・加工や、独自学習アルゴリズムの適用などを通じ、学習の全工程を自ら実装することを重視した。科学技術情報通信部の関係者は「グローバルAIエコシステムではオープンソースの活用が一般的だが、重みを初期化した後に自ら学習させてモデルを開発することが、国内外の産業界・学界で通用する独自AIモデルの基本条件だ」と説明した。

そのため今回の評価では、検証済みのオープンソースを戦略的に活用する場合でも、重みの初期化後に自ら学習・開発を進めることを、モデルの独自性を認める最低条件とした。

政策面では、国家機密の流出リスクや安全保障上の脅威を抑える観点から、AIモデルを必要なときに自力で開発・高度化でき、いかなる状況でも主体的に運用と利用を統制できる能力の確保を重視した。具体的には、完全に韓国の技術で開発するか、ライセンス上の制約がないオープンソースを活用して自ら改良・高度化できることを求めた。外部による統制や介入を受けないことも条件に挙げた。

倫理面では、開発したAIモデルの参照元開示など、ライセンス方針の順守も重視した。科学技術情報通信部は、AIエコシステムの信頼確保や公開検証の強化、透明性向上を通じて、健全な発展を図る必要があるとしている。

同部は、こうした技術・政策・倫理の3つの観点を総合的に検討した結果、Naver Cloud陣営のAIモデルは独自性基準を満たさないと判断した。専門家評価委員会でも独自性の限界が問題として指摘されたという。

この結果、既存の5陣営のうち、LG AI研究院、Upstage、SK Telecomの3陣営が二次評価に進むことになった。

科学技術情報通信部は今後、初回公募に参加したコンソーシアムに加え、一次評価で選外となったNaver Cloud、NC AIやその他の有力企業にも門戸を開き、追加で1陣営を選定する。これにより、2026年上半期中に4陣営による競争体制を整える方針だ。

追加選定される1陣営には、GPUやデータの支援に加え、「K-AI企業」の名称付与など、独自AI基盤モデル開発に挑戦する機会を提供する。科学技術情報通信部は、関連する行政手続きを速やかに進め、追加公募を実施するとしている。

同部は「今回のプロジェクトは、韓国がグローバルAI競争で独自技術を武器に正面から挑む歴史的な試みだ」としたうえで、「持続可能で健全なAIエコシステムを構築し、グローバルなAI技術競争の先頭に立てるよう、活用可能なあらゆる政策資源を投入する」と表明した。

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