KRAFTONは1月15日、社内コミュニケーションプログラム「KRAFTON Live Talk」で、2026年の経営戦略と中長期の成長方針を公表した。今後2年で新作12本の投入を目指すほか、PUBG IPの拡張、既存IPの育成、AI活用の強化を成長戦略の柱に据える。
キム・チャンハンCEOは、「ゲームの本質、価値の拡張」をテーマに戦略の方向性を示した。KRAFTONは、昨年打ち出した中長期戦略「ビッグ・フランチャイズIP」を2026年も継続する。
戦略の中核は、自社開発投資の拡充、パブリッシングの拡大、資源配分の最適化の3点だ。独創性と競争力を備えたフランチャイズIPの確保を重視する。KRAFTONがいうフランチャイズIPとは、単一タイトルにとどまらず、ジャンルやコンテンツ、サービス形態を広げながら長期的な成長を目指すIPを指す。
同社はこの1年、フランチャイズIPの創出に向けて、開発責任者の増強や開発・パブリッシング体制の高度化を進めてきた。2026年は新作開発を本格化させるとともに、PUBG IPフランチャイズの拡張も加速させる。
キム・チャンハンCEOは、「ゲーム事業の本質に集中し、新作への挑戦を実行段階に移した」と説明した。PUBG IPフランチャイズをコンテンツプラットフォームへと広げる一方、新作パイプラインと開発体制を土台に、新たなフランチャイズIPの創出を目指す。
◆小規模・短期間の挑戦で新規IPを発掘
KRAFTONは、新作投入のペースを一段と引き上げる。過去1年で主要な開発リーダー15人を迎え入れており、2026年はこれを軸に小規模組織単位の開発体制を拡大する。
自社開発ラインを広げ、「小さく、速く」試す方式で新作投入を増やす方針だ。現在は計26本のゲームプロジェクトを新作パイプラインとして運営しており、このうち「Subnautica 2」「Palworld Mobile」「NO LAW」など12作品については、今後2年以内の発売を目標に掲げる。
コアファン層が明確な市場を起点に、ヒットの可能性を素早く見極め、成果が確認できたプロジェクトは規模を拡大してフランチャイズIPへ育てる考えだ。
既存IPの拡大も並行して進める。「inZOI」と「MIMESIS」は昨年アーリーアクセスで発売され、ともに100万本超を販売した。グローバル市場で初期ユーザー基盤を築いたタイトルと位置付けている。
KRAFTONは両タイトルを2026年の戦略IPに選定し、長期的に育成するフランチャイズIPとして強化する方針だ。inZOIはAIシミュレーションを基盤に、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の拡充やコンテンツ強化を通じて継続性を高める。MIMESISは協力型ホラーの代表タイトルとして定着を図り、中長期の成長を狙う。
◆PUBG IPをコンテンツプラットフォームへ拡張
KRAFTONはこれまで、カルチャーコンテンツを軸としたコラボレーション拡大や、長期運営を見据えた運営基盤の強化を通じて、PUBG IPフランチャイズの実績拡大を続けてきた。2026年は、モーションアップデートや新モードの導入によって、プレイ体験の幅を広げることに注力する。
あわせて、メディアコンテンツへの展開可能性も検討し、PUBG IPをゲームの枠を超えたコンテンツプラットフォームへ発展させる方針だ。
まずは、PUBG固有のガンプレイやゲームメカニクス、物理エンジンを活用し、サンドボックス型のUGCを拡充する。ユーザーが自らコンテンツを作成・共有できるエコシステムの強化を進める。
また、グローバル市場から新興国までを対象に、モバイルおよびクロスプラットフォームの新作開発も拡大する。「Black Budget」「Blindspot」などを通じてPUBG IPのジャンル拡張を検証し、新たなプラットフォームやジャンルへの挑戦も並行して進め、次の成長段階に備える。
◆AI活用を拡大、新規領域も視野に
KRAFTONは、ゲーム事業を基盤としたAIの新規事業についても可能性を探っている。2021年から、ユーザーの楽しさやプレイ体験を広げる目的で、AI技術をゲームに適用してきた。
昨年はCPC(Co-Playable Character)という新たな概念を世界市場に提示した。さらに同年10月にはAIファースト企業への転換を宣言し、AIによる業務自動化を通じて、組織や働き方の変革を本格化した。
同社は、こうして生み出した時間とリソースを、新作開発やイノベーションプロジェクトに再投資している。
2026年からは中長期の視点で、フィジカルAIとロボティクスを、ゲーム技術を応用できる有力領域の一つと位置付ける。ゲームで蓄積してきたプレイデータや相互作用データ、仮想世界の実装・運営経験が、こうした分野にも活用できるとみている。
特に、「Battlegrounds」のように現実の物理法則を精緻に再現した仮想世界で蓄積したデータやシミュレーションの経験は、関連する新規事業を検討するうえでの基盤になるとしている。
今後もKRAFTONは、ゲーム会社として培ってきた技術力と研究開発力を基盤に、コア能力の拡張につながる新規事業を検討していく方針だ。