SK onのイ・ソッキ社長(左)。写真=SK on

SK onは1月15日、延世大学と共同で、シリコン負極を用いた全固体電池向けの新たなバインダー材料「PPMA」を開発したと発表した。実用化の課題となってきた高圧条件への依存を抑え、低圧でも作動することを確認したとしている。

開発は、延世大学のチョン・ユンソク教授、キム・ジョンフン教授の研究チームと進めた。PPMAは、導電性と接着性を両立した電子伝導性ポリマーで、シリコン負極系の全固体電池が抱えてきた構造安定性の課題改善につながるという。

今回の研究では、PPMAを適用したシリコン負極の全固体電池について、実用化を視野に入れた低圧条件での作動を確認した。あわせて、電気自動車への搭載を想定した条件下で、高エネルギー密度のパウチ型電池として性能を検証した。

SK onによると、数百回に及ぶ充放電試験後も、容量低下を抑えながら初期性能を維持したという。

シリコン負極は、理論上の蓄電容量が黒鉛の約10倍に達するため、次世代の高エネルギー密度電池の中核材料として注目されている。一方で、充放電に伴って体積が300%以上変化することが、実用化の大きな障害となってきた。

膨張と収縮を繰り返すことで粒子間の接触が失われ、内部抵抗が増加すると、エネルギー密度や容量に加え、寿命、出力、効率の確保も難しくなる。とりわけ全固体電池は、電極内の固体粒子同士の接触が性能を左右するため、接触が途切れると回復しにくい。このため従来は、バインダーの使用量を増やすか、高い圧力を加える方法に頼らざるを得なかった。

ただ、従来使われてきたPVDFは絶縁性が高く、使用量を増やしても電極性能の向上につながりにくいという課題があった。

これに対しSK onと延世大学の研究チームは、低圧環境で性能が落ちる主因が、リチウムイオンの伝達ではなく、電極内部の電子移動にあることを突き止めた。PPMAは、電極全体に安定した電子伝導経路を形成しながら、シリコン粒子同士の結合を強めるよう設計したとしている。

同社はPPMAについて、水系プロセスに対応できるため環境負荷の低減が期待できるほか、製造コストの抑制にもつながると説明する。加えて、必要な圧力を80%以上低減できるとしている。

SK on未来技術院のパク・ギス院長は「産学連携を通じ、次世代全固体電池分野で意義ある進展を実現した」とコメントした。そのうえで「今後も学界との協力を通じて、次世代電池技術の革新を加速していく」と述べた。

今回の研究成果は、国際学術誌「Nature Communications」に2025年12月5日付で掲載された。SK onは1月8日にもソウル大学との単結晶正極材の研究成果を公表しており、今回、シリコン負極分野でも成果を示した形だ。

同社は2025年下半期に、大田の未来技術院内で約4628平方メートル規模の全固体電池パイロットプラントを竣工した。全固体電池の実用化目標は2029年としている。

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