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生成AI市場では、2026年に入っても「コーディング」が最大の競争領域となっている。米国勢に加え中国勢も攻勢を強めており、AI生成コードの安全性を巡る懸念が続くなか、サイバーセキュリティ市場では買収を軸とした再編の動きも広がっている。

AnthropicやOpenAIに続き、中国のAIスタートアップDeepSeekも、近く投入する次世代モデル「V4」でコーディング性能を前面に打ち出す見通しだ。DeepSeekの社内ベンチマークに基づくテストでは、V4はコーディング能力でAnthropicのClaudeやOpenAIのGPTシリーズなど既存モデルを上回ったとしている。

Microsoftの調査では、DeepSeekのモデルの利用は中国、ロシア、アフリカで急増した。なかでもアフリカでの利用は、他地域の2〜4倍に達すると推定されている。

AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」も、シリコンバレーを中心に急速に浸透している。従量課金型の同サービスは、年間換算売上高がすでに10億ドル(約1500億円)を超えた。競合に当たるGoogleのエンジニアも利用しているという。

一方で、AIが生成したコードを巡るセキュリティリスクはなお大きい。セキュリティスタートアップTenzaiが、AIコーディングツールで構築したECサイト、フォーラム、ファイル共有サイトを対象にサイバー攻撃シミュレーションを実施したところ、OpenAI、Anthropic、Cursor、Replit、Devinなど主要ツールで作成したWebサイトはいずれも攻撃に対して脆弱だったとしている。

中国勢ではDeepSeek以外の伸びも目立つ。中国のソーシャルメディア企業Kuaishou Technologyは、AIベースの動画生成ツール「Kling AI」の2025年12月の売上高が2000万ドル(約30億円)に達した。年間換算売上高は、3月時点の1億ドル規模から2億4000万ドル(約360億円)へ拡大したとされ、業界内でも異例の成長とみられる。Alibaba CloudのオープンソースAIモデル「Qwen」シリーズも、グローバルの開発者エコシステムで高い利用を集め、代表的なオープンソースAIとして存在感を強めている。

サイバーセキュリティ市場では年初からM&Aが活発化している。CrowdStrikeは、Web経由のサイバー攻撃への防御力を高める一環として、ブラウザーセキュリティのスタートアップSerrapic Securityを4億ドル(約600億円)規模で買収する。また、SGNLを7億4000万ドル(約1110億円)で買収すると発表した。ThreatModelerは、AIベースの脅威モデリング機能の強化に向け、スペイン拠点のサイバーセキュリティスタートアップIriusRiskを買収する。

このほか、AIを開発・活用する主要テック企業の動きも相次いだ。

OpenAIはChatGPTを軸に、ヘルスケア分野への展開を強めている。医療データ統合を手がけるAIスタートアップTorchを、1億ドル(約150億円)規模の株式取引で買収した。Torchのチームと技術は、OpenAIの「ChatGPT Health」プロジェクトに統合される予定だ。ChatGPT Healthは、チャットボットを通じて医療記録の管理や健康状態の分析を支援する。

Googleは、GmailやGoogleフォトなどの個人データを分析し、パーソナライズした回答を返すAI機能「パーソナル・インテリジェンス」を投入した。ユーザーの追加指示がなくても、メールや写真、動画など複数アプリにまたがる情報を自動で分析し、文脈を踏まえた回答を提供するという。あわせて、動画生成モデル「Veo 3.1」で縦型動画の制作機能を示したほか、AIエージェントベースのコマースに向けた新たなオープン標準「Universal Commerce Protocol(UCP)」も公表した。MicrosoftもCopilotに新たなショッピング機能を追加し、AIベースのEC市場に本格参入した。

Anthropicは、Claude Codeの簡易版に位置付けられる「Cowork」を公開した。Claudeのデスクトップアプリに組み込まれたCoworkは、ユーザーが指定したフォルダ内のファイルをAIが読み込み、修正できるようにする。追加の指示は通常のチャットUIから与えられ、導入設定も大幅に簡素化したという。Anthropicはドイツの保険会社Allianzとの生成AI分野での協業も進める。

AppleはAI機能の強化に向けてGoogleと提携した。OpenAIとAnthropicの技術も検証したものの、最終的にGoogleのGeminiを採用したという。両社は約1兆ウォン規模の契約を結んだと伝えられている。

Salesforceは、AIベースのSlackbotのアップグレード版を正式提供した。単なる通知機能にとどまらず、業務自動化を強化したのが特徴だ。ファイル検索に加え、企業データの分析、要約、外部アプリとの連携にも対応する。

AIプロダクト分析プラットフォーム「Align」を運営するCoxwaveは、70億ウォン規模のプレシリーズA資金を調達した。AI転換(AX)支援企業PlanAIは、Webサイトの導線をクリックや検索から対話へ移すAI対話型Webサイトソリューション「Planee」をSaaSとして正式提供した。リーガルAIソリューション企業BHSNは、法律事務所Yulchonと組み、知能型リーガルAIサービス「AI:Yul」を立ち上げた。

LG CNSは、ロボットを含む実世界とAIを融合する「フィジカルAI(Physical AI)」を2025年の中核戦略に据え、本格展開する。製造・物流を中心に蓄積してきた現場経験にAIとシステム統合(SI)の能力を組み合わせ、ロボットを現場で実務を担える存在へと高度化する方針だ。NVIDIAも、米ラスベガスで開かれたIT・家電見本市「CES 2026」でSiemensとの戦略的パートナーシップ拡大を打ち出し、産業現場でのAI活用を加速する考えを示した。

生成AIスタートアップScatterLabが運営するAIフィクションプラットフォーム「zeta」は、日本での2025年12月の売上高が初めて月11億ウォンを超えた。

音声AI分野でも成長が目立つ。音声AIスタートアップElevenLabsは、2025年末時点の年間経常収益(ARR)が3億3000万ドル(約495億円)に達した。ElevenLabsによると、2022年の創業から20カ月でARR1億ドルを達成し、その後5カ月で3億ドルを突破したという。リアルタイム音声AIスタートアップDeepgramは、1億3000万ドル(約195億円)規模のシリーズCを調達したほか、AI音声スタートアップOfOneも買収する。

政府主導の独自ファウンデーションモデル開発事業に参加する5チームの1次評価結果は、15日午後に公表される予定だ。科学技術情報通信部は、1次評価で5コンソーシアムのうち1チームを脱落させる方針。その後も6カ月ごとに評価を実施し、2026年6月に4チームから3チームへ、同年12月に最終2チームを選定する。

有力AI企業がWebブラウザー市場への攻勢も強めており、利用体験や勢力図の変化にも注目が集まる。OpenAIとPerplexityは昨年、それぞれ自社ブラウザー「ChatGPT Atlas」「Comet」を披露した。MicrosoftもEdgeにCopilot AIを組み込み、閲覧中のコンテンツを横断しながらチャットボットに質問できる環境を整えている。

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