トランプ第2次政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した相互関税を巡り、米連邦最高裁の判断が大詰めを迎えている。最高裁は14日に主要案件の判断を示す見通しで、この中に「トランプ関税」の適法性判断が含まれる公算が大きい。9日に言い渡しがあるとの見方もあったが、別件の判断が先行し、関税を巡る判断は持ち越された。
昨年2月、トランプ大統領は「公正・相互貿易計画」に関する大統領令に署名し、対米貿易黒字国を対象に関税を課した。これを受け、民主党系知事を擁する12州と米国の中小輸入企業が政権を相手取り提訴した。
昨年下半期には連邦巡回控訴裁判所が、「IEEPAは大統領に無制限の関税賦課権限を認めるものではない」として輸入企業側の主張を認めた。政権はこれを受け、直ちに上告した。
争点は、本来は議会権限に属する関税賦課を、安全保障上の危機を理由に大統領がどこまで広範に行使できるかにある。トランプ氏は35件を超える関税関連の大統領令を出しており、どのような判断が出ても関税政策を維持する構えを崩していない。
トランプ大統領は5日、ソーシャルメディアで「関税で6000億ドルを手にした、あるいは手にする見込みだ」と主張し、関税を課せなければ米国は「深刻な打撃」を受けると警告した。仮に最高裁が政権敗訴の判断を示した場合でも、政権は通商拡大法232条など別の法的根拠を用い、自動車や鉄鋼といった品目別関税を発動できるとの立場を示している。
最高裁が関税措置を違法と判断した場合、政権はすでに徴収した約1300億ドル規模の関税を返還する必要が生じ、行政実務の混乱は避けられないとの見方が出ている。これについてスコット・ベセント財務長官は9日、ロイター通信のインタビューで、8日時点の財務省の現金残高が約7740億ドルあるとしたうえで、返還原資は確保できるとの認識を示した。支払いについても、「1日で一度に資金が出ていくわけではなく、数週間から数カ月、場合によっては1年以上かかる可能性がある」と説明した。
◆232条・スーパー301条など代替シナリオも
今回の判断は、韓国経済にとっても大きな変数となる。昨年の韓国の対米貿易黒字は495億ドルで、依然として対米黒字は大きい。トランプ政権は韓国を相互関税の最優先対象の一つと位置付け、15%の関税を課した。これにより、自動車、一般機械、自動車部品といった主力輸出品目が打撃を受けた。
昨年の対米輸出は1229億ドルと3.8%減少した。一方、半導体輸出は二桁増を維持し、全体の減少幅を抑えた。
最高裁が政権勝訴の判断を示せば、韓国製自動車への10~25%の追加関税が定着する恐れがある。半導体についても、米国内での工場増設が進んでいるにもかかわらず、完成品の対米輸出に対する圧力が続く見通しだ。
一方、政権が敗訴しても不透明感は残る。ヘリテージ財団の報告書は、トランプ政権が議会に圧力をかけ、より強力な保護主義立法を進める可能性を指摘している。とりわけ通商法122条と232条、関税法338条、大統領令で発動可能なスーパー301条など、代替策として想定される手段はいずれもIEEPAに劣らず強硬だとしている。
最悪の場合、ピーター・ナバロ前ホワイトハウス通商・製造業上級顧問が復帰し、スムート・ホーリー関税法のような高関税政策が再び持ち出される可能性も指摘されている。スムート・ホーリー関税法は、1930年の世界恐慌期に米国が国内産業保護を目的に整備した制度で、輸入品に高率関税を課す内容だ。ナバロ氏は第1次トランプ政権で対中強硬策を主導したことで知られる。
◆韓国政府、業界影響の最小化へ対米対応急ぐ
また、関税交渉で韓国政府が米国に示した3500億ドルの対米投資計画を巡っても、その是非を問う論争が広がる可能性がある。トランプ氏が示唆していた25%の相互関税率を15%に引き下げることが対米譲歩の見返りと受け止められていたため、仮に関税措置が無効となれば、韓国政府が過度な譲歩をしたとの批判が強まる可能性がある。
こうしたなか、韓国政府は判決後も米韓通商関係に大きな変化はないとのメッセージを発している。キム・ジョングァン産業通商部長官は9日、在韓米国商工会議所との懇談会で、昨年の米国の対韓投資が97億7000万ドルと前年比86.6%増え、過去最高を記録したことに謝意を示した。
キム長官は、「米韓関税交渉の妥結後、韓国企業の対米投資が拡大する局面で、米国企業の対韓投資も増えていることは、両国の投資協力が相互補完的に発展していることを示す成果だ」と述べた。
また、ヨ・ハング通商交渉本部長は11日から14日までワシントンD.C.を訪れ、米通商代表部(USTR)など政府、議会、業界関係者と面会している。最高裁がIEEPAに基づく相互関税の適法性判断を控えるなか、業界への影響を最小限に抑える対応策を探るため、米国内の動向を幅広く把握する考えだという。
韓国政府は、最高裁の判断がいずれの内容になっても、対米貿易黒字の縮小を求める通商圧力に直面するとの前提で備えを進めている。