政府が進める国産基盤モデル開発事業で、参加5陣営を対象とする一次評価の結果公表が近づいている。評価では5陣営のうち1陣営が絞り込まれる見通しで、審査基準に含まれる「フロムスクラッチ(ゼロからの独自開発)」の解釈を巡り、企業間の神経戦も激しさを増している。
科学技術情報通信部は15日まで、独自基盤モデル開発プロジェクトの一次評価を実施する。対象は5コンソーシアムで、このうち1陣営を外す方針だ。その後も6カ月ごとに評価を続け、2026年6月には4陣営から3陣営へ、同年12月には最終的に2陣営を選ぶ。
一次評価の対象となっているのは、Upstage、SK Telecom、NC AI、LG AI研究院、Naver Cloudの5陣営。各社は最終2枠入りを視野に入れる一方、足元ではまず一次評価を通過できるかが最大の関心事となっている。
評価を前に、企業間の駆け引きも表面化してきた。とりわけUpstage、Naver Cloud、SK Telecomを巡っては、「フロムスクラッチ」に当たるのかどうかを巡る議論が相次いでいる。2025年12月30日に、5陣営が科学技術情報通信部主催のイベントで技術発表を行って以降、関連する論点が次々と浮上した。
背景にあるのは、国産基盤モデル事業で「フロムスクラッチ」が一次評価の主要基準の一つに位置付けられていることだ。科学技術情報通信部は、海外AIモデルをファインチューニングして派生モデルを開発した場合、独自の基盤モデル開発には当たらないとの立場を示してきた。
Upstageを巡っては、AIスタートアップPsyonic AIのコ・ソクヒョン代表が開発者向けプラットフォームGitHubで、「Sola Open 100B」が中国Zhipu AIの「GLM-4.5-Air」を土台にした派生モデルではないかと問題提起し、議論が広がった。
これに対し、Upstageは公開検証を通じて沈静化を図った。問題を提起したコ代表もその後、SNSに謝罪文を投稿しており、論争はいったん収束した。
SK Telecomも、独自基盤モデルとして開発中の「A.X K1」がDeepSeekのモデルと一部似通っているとの指摘を受けた。これに対し同社は、該当部分はモデルをゼロから構築することとは別の、実行コード上の問題だと説明している。
Naver Cloudは、ネイティブなオムニモーダル構造を採用した基盤モデル「Native OmniModel(HyperCLOVA X SEED 8B Omni)」と、既存の推論型AIに視覚・音声・ツール活用機能を加えた「高性能推論モデル(HyperCLOVA X SEED 32B Think)」を提示した。
同社は、この事業の主力モデルは「Native OmniModel」だとの立場を示している。一方で、同時に公開した「HyperCLOVA X SEED 32B Think」については、「Qwen 2.5」のビジョンエンコーダーの重みの一部をファインチューニングして利用したことが論点となった。
これについてNaver Cloudは、基盤モデルの中核エンジンはフロムスクラッチの段階から100%自社技術で開発してきたと説明する。その結果、韓国語や韓国社会の複雑な文脈を深く理解できる競争力を確保したとしている。
そのうえで今回のモデルでは、グローバルな技術エコシステムとの互換性とシステム全体の効率的な最適化を考慮し、検証済みの外部エンコーダーを戦略的に採用したと説明した。ビジョンエンコーダーについても、視覚情報をモデルが理解できる信号に変換する役割を担うとし、Naver CloudはVUClipなど独自のビジョン技術も十分に保有しているとしている。
一連の論争については、コミュニティレベルの自然な問題提起を超え、一次評価を前に企業間の神経戦が過熱した結果だとの見方もある。政府側が「フロムスクラッチ」の具体的な判断基準を十分に示しておらず、議論が過度に広がっているとの指摘も出ている。
一次評価後も、こうした議論がしこりとして残る可能性を懸念する声はある。業界関係者は「基準に解釈の余地が大きく、AI開発で国際的に一般的な慣行まで論争の対象になっている」としたうえで、「評価の専門性を一段と高める必要がある」と話した。