人工知能(AI)の普及に伴い、採用面接で問われる資質が変わり始めている。企業が重視するのは、単に業務をこなせるかどうかではない。AIを活用して成果を高められるか、さらにAIでは置き換えにくい強みを持っているかが、新たな評価軸になりつつある。
米CNBCは1月10日(現地時間)、AI時代の到来によって企業の求める人材像と採用基準が大きく変化していると報じた。MITコンピュータ科学・AI研究所(CSAIL)のダニエラ・ラス所長は、将来の採用で問われるのは単なる職務遂行能力ではないと指摘し、AIでは代替しにくい付加価値を示す必要があると強調した。
AI導入による生産性向上は、各種データにも表れている。ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は、AIが大企業の雇用鈍化に影響している一方で、実質的な生産性の押し上げにつながっているとの見方を示した。
AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)も、人員削減だけでなく、AIを使いこなせる人材を積極的に採用することで組織の成長を図っていると述べた。
こうした流れを受け、企業は従業員に新たな必須スキルとしてAI活用力を求め始めている。Fiverrのミカ・カウフマンCEOは、AIはあらゆる業界を再編する大きな潮流だとした上で、従業員が変化に適応できるよう支援することは企業の責任だと語った。
Fiverrの報告書によると、フリーランスの40%はすでにAIツールを業務に取り入れており、1週間当たり平均8時間超の作業時間を削減している。AIを積極活用する人材ほど高い成果を上げ、それに見合う報酬を得る傾向も示された。
McKinseyの報告書も同様の傾向を示している。AIは理論上、米国の労働市場の半分超を自動化できる可能性がある一方、それがそのまま大量解雇に直結するとは限らないとした。既存の職務が縮小・変容しても、AIと人間の協働を前提とした新たな職種が生まれる可能性が高いという。
一方で、AI導入を無条件に進めることに警鐘を鳴らす声もある。MITのアルマンド・ソラール=レザマ教授は、フィンテック企業Klarnaの事例を挙げ、AI導入後に人員を40%削減したものの、顧客対応の品質低下によって再び採用が必要になったと指摘した。AIは人の業務を代替し得るが、その限界やリスクを見誤れば、企業はかえって大きなコストを負うことになるとしている。