1月14日に「2026 League of Legends Champions Korea(LCK)カップ」が開幕するのを前に、韓国のeスポーツ配信市場で競争が一段と激しくなっている。LCK配信を担ってきたYouTubeが外れ、韓国語のライブ配信はNaverの「CHZZK」とSOOPによる独占体制に移行するためだ。
Riot Games Koreaは昨年末、Naver、SOOPとそれぞれ2030年までの独占配信契約を締結した。これにより、2026年からLCKの韓国語ライブ配信はCHZZKとSOOPでのみ視聴できる。
昨年のLCKの国内平均分間視聴者数(AMA)は63万4000人と、前年に比べ42%増えた。これまでYouTubeで視聴していた大規模な視聴者層の受け皿を、今後は両社が争う構図となる。
視聴者数は、プラットフォームの影響力や広告収益に直結する重要指標だ。このため両社は単なる試合中継にとどまらず、関連コンテンツや視聴機能を拡充し、利用者の囲い込みを進めている。
◆SOOP、チーム連携を前面に ファンダムの囲い込みを狙う
SOOPは、試合中継から選手の個人配信、チーム独自コンテンツへと視聴をつなぐ導線づくりを競争力の中核に据える。中継視聴後もプラットフォーム内に利用者をとどめ、滞在時間を伸ばす考えだ。
その一環として、T1、Gen.G、KT RolsterなどLCK10チームのうち7チームと提携した。人気選手のフェイカー(イ・サンヒョク)が昨年11月、World Championship優勝公約としてT1社屋にファンを招き、合同配信を行った事例のように、試合外のストーリーもプラットフォーム独自コンテンツとして取り込み、ファンダムの流出を防ぐ狙いがある。
SOOPは1月9日、提携する7チームを対象に「サポーターズストリーマー」の募集を開始した。選ばれたストリーマーは試合のリアクション配信や応援配信を担い、ファンとチームをつなぐ役割を果たす。ホームグラウンドイベントやビューイングパーティーへの参加機会も設け、オンライン上の盛り上がりをオフラインのファンダム文化へ広げる方針だ。
さらにSOOPは、LCK関連コンテンツに限って、従来は有料だった「タイムマシン(巻き戻し視聴)」機能を無料で開放した。YouTubeが強みとしてきた視聴利便性を補完する狙いもある。チーム社屋ツアーやストリーマーとのトークコンテンツなど、協業企画も予定している。
海外リーグの配信権拡充も進める。SOOPは1月8日、LCKに加え、LPL(中国)やLEC(欧州)など主要海外リーグの韓国語配信を提供すると発表した。韓国内の試合がない時間帯でも、利用者をプラットフォーム内にとどめる考えだ。
◆CHZZK、機能強化で対抗 AIと無料機能で視聴しやすさを高める
一方のCHZZKは、親会社Naverのインフラを生かしたブランド力と技術基盤を武器に、視聴のしやすさを前面に打ち出す。コンテンツ面でも配信ラインアップを拡充し、SOOPに対抗する構えだ。
CHZZKは1月8日、LCK中継の「タイムマシン(巻き戻し視聴)」機能を全面無料化した。提携チーム数が3チームにとどまる弱みを補うため、まずは視聴機能の強化に踏み切った形だ。加えて、NaverのAI技術を活用し、VODの主要シーンを自動分析して提示する「AIチャプター」機能も導入する。ライトユーザーでも見たい場面にたどり着きやすくし、視聴のハードルを下げる狙いがある。
配信ラインアップも厚くする。CHZZKは2026年のロードマップで、LCKに加えてLPL、LEC、LCS(北米)、LCP(アジア太平洋)、CBLOL(ブラジル)など、世界各地のLoL eスポーツリーグやイベントを通年でライブ配信すると明らかにした。SOOPに劣らない規模の配信権を確保し、コンテンツ競争でも後れを取らない姿勢を示した。
オフライン拠点を通じた認知拡大にも動く。NaverはLCK専用競技場「LoL Park」のネーミングスポンサーに参画し、正式名称を「CHZZK LoL Park」に変更した。4月のレギュラーシーズンからは、競技場内にCHZZK専用のブランディング空間と座席ゾーンを設ける。来場者と視聴者の双方に「LCK=CHZZK」という印象を浸透させる考えだ。
◆YouTube不在の初シーズン 焦点は視聴者をどれだけ定着させられるか
YouTubeが配信から外れたことで、両社の競争は視聴のしやすさと継続利用の確保に収れんしている。
ソフトコンビューアーシップによると、昨年のCHZZKの最大同時視聴者数は69万8933人で前年比60.6%増、平均視聴者数は11万3392人で同39.3%増だった。SOOPは最大同時視聴者数が54万1663人で同5.1%増、平均視聴者数は14万1576人で同1.2%増。伸び率ではCHZZKが大きい一方、平均視聴者数ではSOOPが依然として上回った。
市場全体の規模には限界も見える。IGAWorksのMobile Indexによると、昨年のSOOPとCHZZKの合算月間アクティブユーザー数(MAU)は461万〜532万人の範囲で推移した。新規需要の掘り起こしが難しい飽和市場のなか、両社は競合サービスの利用者を取り込みつつ、自社利用者の離脱を防ぐ競争を続けている。
業界関係者は「YouTubeの離脱によって、利用者は新たな視聴習慣を作らざるを得ない局面に入った」と指摘する。そのうえで「単なるトラフィック争奪戦ではなく、各プラットフォームがどれだけ関連コンテンツと利便機能を提供し、視聴者を長く引き留められるかが、今後の市場シェアを左右する重要指標になる」と分析した。