写真=KAIST。左からキム・ミンジェ氏、ユ・スンヒョプ教授、キム・ジュンホ氏

KAISTは1月11日、電気・電子工学部のユ・スンヒョプ教授の研究チームが、OLEDの平面構造を維持したまま正面方向の光取り出し効率を2倍以上に高める準平面光取り出し構造と設計手法を開発したと発表した。小型ピクセルでも高効率化でき、フレキシブルOLEDへの適用も可能だという。

OLEDは、優れた色再現性に加え、薄型で曲げやすい特性を生かしてスマートフォンやテレビに広く採用されている。一方で、素子内部の光損失が大きく、輝度向上には限界があった。研究チームはこの課題に対し、新たな光取り出し構造と設計手法を提示した。

OLEDは複数の有機薄膜を積層した構造を持つが、光が層間を通過する過程で反射や吸収が生じる。このため、内部で生成された光の80%以上が外部に放出されず、熱として失われる点が発光効率を制約する主因とされる。

従来の光取り出し技術としては、OLED表面にレンズ構造を付加する半球レンズや、マイクロレンズアレイ(MLA)などが用いられてきた。ただ、半球レンズはレンズ部が大きく突出するため、平面形状を保ちにくい。MLAも十分な効果を得るにはピクセルサイズを大きく上回る構造が必要で、隣接ピクセルとの干渉を避けながら効率を高めるのは難しかった。

これに対し研究チームは、各ピクセルのサイズ内で光をできるだけ効率よく外部へ導くOLED設計手法を提案した。無限に広がる構造を前提とする従来の設計ではなく、実際のディスプレイで使われる有限なピクセルサイズを考慮した点が特徴だ。

この設計により、同じ大きさのピクセルでも、より多くの光を外部に取り出せるようになった。あわせて、光が横方向に広がるのを抑え、画面正面に出やすくする準平面光取り出し構造も開発した。

新たなOLED設計と準平面光取り出し構造を組み合わせた結果、小型ピクセルでも発光効率を2倍以上高めることに成功した。フレキシブルOLEDにも適用しやすいとしている。

この技術を使えば、OLEDの平面構造を維持したまま、同じ消費電力でより明るい表示が可能になる。スマートフォンやタブレットなどモバイル機器では、バッテリー駆動時間の延長や発熱の抑制に加え、ディスプレイ寿命の改善も期待できるという。

ユ・スンヒョプ教授は、これまで提案されてきた多くの光取り出し構造は広面積の照明用途が中心で、多数の小型ピクセルで構成されるディスプレイには適用しにくい、あるいは効果が限定的だったと説明した。そのうえで、今回の準平面光取り出し構造について、ピクセル内の光源にサイズ制約を設けることで、隣接ピクセル間の光干渉を抑えながら効率を最大化できるようにしたと強調した。

研究成果は2025年12月29日付で、国際学術誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。

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