Nikonが公表した決算関連資料で、APS-Cカメラの需要拡大をうかがわせる記載が注目を集めている。物価高を背景にフルサイズ機よりも小型で価格を抑えやすいAPS-C機が選ばれる傾向が強まっており、市場では同社のミラーレス新製品戦略がAPS-C寄りに見直される可能性があるとの見方が出ている。
米ITメディアのTechRadarが7日(現地時間)に報じたところによると、Nikonは2025年度第2四半期決算に関する説明資料の中で、「市場トレンドは、フルサイズ製品よりもAPS-C製品の人気が高まっていることを示している」と説明した。物価高や生活費の上昇を受け、比較的手ごろな価格で携帯性にも優れるAPS-C機への需要が増しているとの認識を示した格好だ。
APS-Cセンサーはフルサイズより小さく、ボディやレンズの小型・軽量化につながるほか、価格面でも優位性がある。一方で、画質や高感度性能、被写界深度の表現ではフルサイズに及ばない部分もあるが、スマートフォンや小型カメラを上回る画質を求める層を中心に、入門者から中級者まで幅広い需要を支えている。
Nikonは現在、APS-Cのミラーレス機として「Z50II」「Z30」「Z fc」を展開している。ただ、プロ用途を意識した旗艦APS-Cモデルは投入していない。スポーツや野生動物の撮影者から高い評価を得たAPS-C一眼レフ「D500」以降、その流れをくむミラーレス機は登場しておらず、市場では高解像度や高速連写、防塵・防滴に対応した「D500級」APS-Cミラーレスへの期待も出ている。
エントリー市場でも後継機への関心は高い。Z30は手ごろな価格と動画性能で入門層の支持を集めてきたが、電子ビューファインダー(EVF)やヘッドホン端子を備えない点、競合機と比べた画素数の少なさなどが課題として指摘されてきた。このため、解像度や動画機能を強化した後継モデルを予想する声がある。
レトロデザインを打ち出したZ fcについても、発売から5年が近づく中で世代交代の可能性が取り沙汰されている。業界では、最新の画像処理エンジンやセンサー改良によって連写性能や動画機能を強化した後継機が投入されれば、高価なフルサイズ機「Z f」の代替候補として需要を呼び込めるとの見方がある。
こうした動きは、競合各社の戦略とも重なる。Canonはすでに、防塵・防滴性能と高速連写を備えたAPS-Cミラーレス「EOS R7」を投入しており、Sonyも動画志向のAPS-C機「FX30」を展開している。価格性能比と携帯性を重視する消費トレンドが続く中、NikonがAPS-Cラインアップを強化すれば、中級者からプロまでユーザー層を広げられるとの評価が出ている。